しまうま書店はお買い得。しまうま書店は知識の泉。しまうま書店は文化の終わり。

百日紅 杉浦日向子著 ちくま文庫
時代考証のすばらしさと絵の美しさが際立ちます。
杉浦さんのことはNHKの番組で拝見していましたが、作品を読むのは初めて。
葛飾北斎とその娘栄を中心とした江戸の日々が描かれています。

杉浦さんは生きておられれば私と同世代。
岡野俊一郎さんも亡くなられました。キース・エマーソンもクリス・スクワイアももういません。

(2017年2月6日)
村上海賊の娘(一)〜(四) 和田竜著 新潮文庫
時は戦国時代。瀬戸内海を支配する村上海賊の娘、景(きょう)は悍婦(お転婆)で醜女(ブス)。しかし武芸の腕と勇猛さで海賊たちに慕われている。景はひょんなことから織田信長が殲滅しようとする大阪本願寺に味方し、一人で織田信長側の真鍋海賊と対決する。臆病者で知られる景の弟、景親が叫ぶ。
「者ども聞け。我が能島村上の者が一人、敵の軍勢に戦を仕掛けた。知らぬとあらば心して聞け。その者こそ、能島の主、村上武吉の娘にして我が姉、景姫である。」

痛快!!!!!!!!!!!!
(2016年11月23日)

鳥獣戯画の謎 上野憲示監修 株式会社宝島社
私は勝手に鳥獣戯画というのは、どこかからか「発掘」「発見」されたものと思っていましたが、古くから有名な絵巻物なのですね。だから模写された「摸本」も残っており、欠落している箇所も推測できるのだそうです。
甲乙丙丁4巻あり、私が鳥獣戯画と聞いてイメージするサルだのウサギだのが活躍するのは甲巻であることも知りました。
それにしても良い絵です。

(2016年1月21日)
人喰鉄道 戸川幸夫著 旺文社文庫
喰われますね。
ウガンダ鉄道建設現場の技師たちが、人喰いライオンの被害を集計する場面があるが、その数200人超。毎日のように捕って喰われてしまうのである。洗濯に行けば喰われ、寝ていれば喰われ、撃ちに行けば喰われ。気の毒以外の何物でもない。他にもコレラの蔓延、暴動、汚職。鉄道建設は問題山積み。

しかし、イギリスとアフリカの人々はガッツで乗り越えていく。はたして鉄道は開通できるのか?
さすが戸川幸夫さん。ライオンとの対決シーンには緊張してしまいました。


(2015年12月23日)
洞窟オジさん 加村一馬著 小学館文庫
今年、テレビドラマにもなった加村一馬さんの半生。
両親の虐待に耐えかねて、昭和35年、13歳で家出。というより脱出。以来、洞窟や川辺でサバイバル生活を続けることとなる。
特殊な状況下のお話なので、人間てこういう時はこんな風に感じるんだ、ということがわかりとても感慨深い。
サバイバル術の解説もあって楽しいです。

(2015年12月23日)
河童の三平(全) 水木しげる著 ちくま文庫
三平少年はひょんなことから河童のかん平と共にいろいろな冒険に出かけることになる、というお話し。
この中で「死神」が狂言回しとして登場する。死神は三平と二人で暮らすおじいさんの霊を取りに来るのだが、三平たちにあの手この手でだまされてなかなか使命を果たせず、「このままでは家族を養っていけない」と嘆くのである。しかし死神は押し入れに隠れているとき、間違えて押し入れを開けたおじいさんとついに対面する。
「おまえ、だれじゃ?」「死神だ」「死神?」「じいさんや、おまえにもボツボツ死期がせまっておるのじゃ。用意しときなされや」
おじいさんは「おむかえのくるころだと思っていた」とつぶやき、一人残される三平に自分が所有している田畑や山のことを教え、生活していく術を伝える。
今、同じような漫画や小説があったとして、こういうストーリー展開になるだろうか?というより今の私たちはこんな風に振る舞うだろうか?なんだか当たり前のように、見苦しく、抵抗するのではないかと思う。

もう一つこんなシーンもある。

三平は生き別れになった父親と再会する。しかし父親は三平が留守にしている間にこの世を去ってしまう。
死神が三平に告げる。
「おまえのうちもひとでがたりないと思っておれが葬式をすませておいたぜ。それに庭先に墓もつくっておいてやったからな。」
三平は呆然自失。涙を流す。すると死神が三平の頭を叩きこう言う。
「三平!しっかりしろ!泣くんじゃない。男の子がそんな弱虫でどうする」
今、こんなことを言う日本人はいるだろうか?全く違う対応をすると思う。

そうか、そういえば私たちはかつてこういうメンタリティを持っていたんだ、と気づく。
こういうお話を描く水木先生はもういない。

合掌

(2015年12月2日)
「黄金のバンタム」を破った男 百田尚樹著 PHP文芸文庫
「黄金のバンタム」と呼ばれた史上最強のチャンピオン、エデル・ジョフレを破ったファイティング原田
その原田を中心に同時代を生きたボクサー達の生き様を綴ったノンフィクション。
当時のボクシングの世界チャンピオンというのは10人程度。
今は階級が細分化され、王座認定団体が増え、なんと世界チャンピオンは70人近くいる。
当時と現在ではチャンピオンの重みが違う、と著者は強調しています。

(2013年2月3日)
飼い喰い 三匹の豚とわたし 内澤旬子著 岩波書店
中澤さんはイラストも描くルポライターでエッセイスト。
この本は「世界屠畜紀行」の続編とも言うべき作品。
今回は、なんと自分で豚を飼い、それをつぶして食べてしまいます。
畜産の実態も書かれていてたいへん興味深い内容。
愛情とは何か?と思わず考えてしまいました。

(2013年2月3日)
釣り浪漫〜釣りが教えてくれたこと〜 児島玲子著 幻冬舎
全然期待しないで読み始めました、が、なかなか感動しました。
釣りと児島さんが好きな方にはお勧め。
著者はグラビアの仕事を始めるが、「今の私に何ができるの?」と自問し、もうひとつ、仕事として釣りを始める。
釣りの練習をしたことが書かれているが、その中でも、撒き餌の練習をする、というくだりでは思わずうなってしまう。
どんな仕事でもたいへんですね。

(2013年2月3日)
瀕死の双六問屋 忌野清志郎著 新人物往来社
世の中いろいろなことが起こり、それに対していろいろ自分が反応してしまうわけで、なかなかにたいへんで。
そんな中、愛と気合で快刀乱麻の忌野清志郎さん。とても勇気づけられました。
CDもついて2,190円。いかがですか。


(2012年4月22日)
負けないで! 小笠原恵子著 創出版
聴覚障害のプロボクサーは日本にも過去存在した。
しかし女性ではこの小笠原恵子さんが初めて。
この本は2010年7月27日のプロデビューまでの回想録となっている。
何よりも印象に残ったのは、お母さんに「お前を殺して私も死ぬ!」と言わせしめた学生時代の荒れっぷりだ。
障害者の人はたいへんだと思う。

(2011年11月27日)
女猟師 私が猟師になったワケ 田中康弘著 竢o版社
野生生物の保護、というと最近の話題のように感じるが、あのアーネスト・T・シートンがすでにその必要性を訴えていたということには考えさせられるものがある。
そしてシートンは優秀なハンターだったそうだ。
この本に登場する5人の女性はプロ、アマいろいろだが、誰一人として動物を撃って撃って撃ちまくりたい、などという人はいないです。

(2011年11月27日)
鴨川ホルモー 万城目学著 角川文庫
もののけ版青春スポーツもの。
存在は前から知っていたのだが、なんだか人を馬鹿にしたようなタイトルなのでなかなか手が出なかった本。
まあ、馬鹿にしてますけど、不覚にも感動してしまいました。
何でも読んでみるものですね。
続編(というか外伝)の「ホルモー六景」も爽やかな気分になれます。

(2011年11月15日)
この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原理恵子著 角川文庫
西原理恵子さんの生い立ちは特別だ。特別といういい方が悪ければ現代の日本においては少数派だ。
だから全ての人に当てはまることではないのだろうけど、西原さんの話には説得力がある。
若者に向かって切々と語る。もしくは怒鳴る。ジミー・ペイジのギターソロみたい。

(2011年11月14日)
野宿入門 かとうちあき著 草思社
ミニコミ誌「野宿野郎」編集長かとうちあきさんのデビュー作はその名も「野宿入門」!
野宿のスキルを説きつつ、精神的開放の重要さを訴える、という本(違うか)。
感心したのは清潔な文章。久しぶりにこういうのを読みましたよ。どんどん書いてほしい。
ちなみに「野宿野郎」のキャッチフレーズは「人生をより低迷させる旅コミ誌」だそうです。

(2010年12月25日)
世界怪魚釣行記 武石憲貴著 扶桑社
武石憲貴さんの有名(?)なサイト「世界怪魚釣行記」が本になった。
狙うはパプアンバス、バラムンディ、ナイルパーチ、タイメン、トクナレ。いずれ劣らぬ怪物ぞろいだ。
そして行く手を阻むクロコダイル、10歳の売人、マラリア、包丁を握りしめるモンゴル人。
行きたい行きたい行きたい。

(2009年9月23日)
ザ・ギャンブルフィッシング モンテ・パーク著 つり人社
1932年6月2日、ジョージ・ワシントン・ペリーは22ポンド4オンスのオオクチバスを釣る。
この世界記録が多くの人の人生にエナジーを送るのだ。
家族を顧みずロッドを握り、世界最大のオオクチバスを養殖しようと全精力を傾ける。
いやー、みんなきてるなー。

あんまり人のことは言えませんが。

(2009年6月8日)
ブラッド・スポーツ ロバート・F・ジョーンズ著 福武書店
この本は絶版になっているのだが、ひょんなことから手に入った。ブラッド・スポーツというのはハンティングやフィッシングのように血を見るスポーツのこと。
解説にもあるが怪書。
中国北部に流れを発し、ウィスコンシン州を蛇行してニューヨーク州南部のクロトン湖にそそぐハサヤンパ河。この川を遡る探検にある父子が出かける。川でカジキを釣り、マストドンを狩り、ユニコーンを見る。父親は自分の父親を殺したのはラタノウスという人物だとする妄想を抱いている。ところが旅を続けるうちにそれが妄想とは言えなくなっていく。そしてフライ(毛鉤)に毒を塗っての対決が始まった。
奇想天外、下品、非道徳的。
すごいですね。
珠玉 開高健著 文春文庫
開高健の遺作。
だからずっと読まないでいたが、読んでしまいました。
ぼくは猟師になった 千松信也著 リトルモア
京都で罠猟師になった人の体験記。
猟師になるまでのいきさつが興味深いですが、もう少し猟そのもののことを突っ込んで書いてくれると読み物としてはもっと良かったのに。
イノシシ猟を主にされているが、私はスズメ猟、カモ猟に感心していまいました。
危ないお仕事 北尾トロ著 新潮文庫
プロの話を聞くのは楽しいことだ。そこには磨き抜かれた技術や知恵がいっぱい。
そしてこの本では、聞いたことはあるけど実際にどんな内容かはよく知らない、という仕事について紹介されている。
万引きバスター、私立探偵、超能力開発セミナー講師、ダッチワイフ製造業・・・うひゃひゃ
とってもおもしろい。なかなかの力作である。
同じシリーズで「怪しいお仕事」もあります。
(2008年6月22日)
猿猴 川に死す 森下雨村著 平凡社ライブラリー
この本の冒頭には出版にあたっての紹介文が載っている。松本清張、井伏鱒二、横溝正史・・・え?
森下雨村は編集者として欧米の探偵小説を紹介し、さらにあの江戸川乱歩を発掘した人なんだそうである。
この本は郷里の四国での釣りが描かれている。アユ、アマゴ、ウナギ等々。川の音が聞こえてきそうないい文章である。1回読んで、時々読み返す、そんな本。
ちなみにこの本には現在「差別用語」とされている言葉も出てくるが、森下雨村に差別意識があったとはとても思えない。
さらにちなみに「猿猴(えんこう)」てのはカッパとかカワウソのこと。
(2008年6月22日)
算法少女 遠藤寛子著 ちくま学芸文庫
算法って知ってます?日本古来の数学、和算のことですよね。和算ってなにしてたか知ってます?
江戸時代に実際に出版された「算法少女」にヒントを得て書かれた小説である。
算法に長けた少女あきは、ひょんなことから算法の本を出すことになる。そしてその本を中心に大人たちの思惑がぐるぐるとまわる。
和算のことそのものが主題ではないが、江戸時代に円周率の計算に腐心する人達がいたなんて、身勝手ながらとっても意外。
ジュニア小説だが充分楽しめた。もちろんお子さんにもどうぞ。

(2007年9月17日)
日本怪魚伝 柴田哲孝著 角川地球人BOOKS
魚をモチーフにした短編集。
アカメ、ビワコオオナマズ、リュウグウノツカイ、イトウ・・・。うーん、たまんない。

でも釣りの話ばかりではありません。思わずうなる人生がいろいろあるもんです。
個人的には「蜃気楼 リュウグウノツカイ
」がよかったですねえ。
(2007年8月25日)
大人の探検ごっこ 清野明著「探検倶楽部」隊長 アスキー新書
かつて「探検倶楽部」という雑誌があり、一部のアウトドアファンに熱く支持されていた。残念ながら4号で休刊となったのだが、その内容は「散歩の達人」に「東京探検倶楽部」という連載として引き継がれた。この本はその9年間の連載の中から選ばれた19の話が集まられている。
かなり無茶な内容である。普通の登山とも沢登りとも観光とも違う。突っ込めるところはどこでも突っ込んじゃうもんね、という意気込みでありながら割と簡単に挫折したりする。
やっぱりやりたいことやるのが一番なんでしょうねえ。
(2007年8月25日)
野宿大全 村上宣寛著 三一書房
バックパッキング、バイクパッキングについて富山大学教授村上宣寛氏が熱筆を振るう。これさえあれば何でもできる!という気になる本。村上氏をバックパッキングの師と仰ぐ人も多いようである。
それにしても靴から歯ブラシに至るまでの道具選定に始まり、山中、街中で寝るための方法論まで
これでもかというくらい技を繰り出してくる。時おり見せるジョークも秀逸。
やっぱりテント買おうかなと思います。
(2007年8月26日)
焚き火の焚きつけ 黒田薫著 つり人社
黒田薫氏は雑誌「渓流」のライターの一人。私はその尋常ならざる文章がたいへん好きである。
この本ではこれまで各誌に掲載されたものに書下ろしが加わっている。特に青春時代をすごしたヨセミテでの登攀の話がおもしろい。登場人物がリン・ヒルの「クライミング・フリー」と同じだったりする。
これからもバリバリ書き続けてほしいものである。
(2007年5月12日)
クライミング・フリー リン・ヒル with グレッグ・チャイルド 光文社文庫
内容は副題がよく表している。「伝説を作る驚異の女性アスリート」
難ルート初登攀、クライミングコンペ連勝。男性をしのぐスコアを叩き出す女性クライマー、リン・ヒルの回顧録。
文章がいいとか、ストーリーがおもしろいとかのレベルではなく、書かれている内容そのものがすごい。
最初はどうかな?と思ったが、結局、けっこうなペースで読んでしまった。
(2007年3月12日)
春の数えかた 日高敏隆著 新潮文庫
素敵なタイトルの本である。
日本が世界に誇る動物行動学者 日高敏隆先生の著書である。
日本エッセイスト・クラブ賞受賞作品である。
読むがいい
(2007年2月9日)
農業は人類の原罪である コリン・タッジ著 新潮社
たぶんそーなんじゃないかなー、と
ずっと考えていたことの一つがそのままタイトルになった本。たいへん興味深く読みました。

(もっとも原題は「ネアンデルタール人、ならず者、農夫」になってる)
農業を始めると食物の生産性が上がり人口が増える。増えるとその分多くの食物を生み出さなくてはならないからさらに農業に精を出す。そうするとまた人口が増える。増えると・・・・
(2007年2月9日)
ねこのばば 畠中恵著 新潮文庫
「しゃばけ」「ぬしさまへ」に続く第三弾「ねこのばば」である。不思議な設定の小説である。
時は江戸時代、大店長崎屋の若だんなは身体が弱く病気がち。しかし周りには若だんなを守る妖怪達でいっぱいだ。江戸で起きる怪事件、難事件を冴えた推理と妖怪達の協力で解決していく。
全体的には私の嫌いなほのぼの路線なのだが、時代考証がしっかりしているので話にリアリティがあっておもしろい。また、妖怪達の描写も独特な切り口が好感。
しかし私も妖怪が好きだなあ。(2007年1月1日)
ゲゲゲの鬼太郎(全7巻) 水木しげる著 ちくま文庫
ここのところいろんなことが立て込んだ。パソコンを使う仕事も多いので目が疲れる。面倒な本を読むのはかったるいので、読みやすそうなこれにしました。もっとも文庫なので読むのは疲れましたけど。
読んだ感想は「絵が上手い」
思わず見入ってしまう上手さである。こういうのはとてもいいですね。それにしても日本各地の妖怪のことをどんな風にして調べたんだろうねえ。
水木しげる先生自身もかなり妖怪っぽいらしく、面倒な仕事の電話が入ったりすると「わははははは」と笑って切ってしまうんだそうである。これもいいなあ。(2006年3月26日)
沙門空海 唐の国にて鬼と宴す(全4巻) 夢枕獏著 徳間書店
遣唐使として唐に渡った空海を待ち受けるさまざまな怪異。それらは次第に一つの謎につながっていく。
楊貴妃は本当に馬嵬駅
で死んだのか?
執筆期間17年、総原稿枚数2600枚超、徳間書店創業50周年記念作品。
たいへんな分量だが読み手を飽きさせない痛快な作品である。夢枕ファンはすぐ書店へ、そうでない人は文庫版になるのを待ってもいいかな?
(2006年1月29日)
自虐の詩(上)(下) 業田良家著 竹書房文庫
主人公の森田幸江は薄幸の女である。同棲しているイサオは働かず競馬・マージャンに明け暮れる。幸江がラーメン屋で必死で働いた金をむしるようにして持って行ってしまうのである。気にらないことがあるとちゃぶ台をひっくり返す。周囲は別れたらと勧めるのだが幸江はイサオにつくす。
人によっては幸江やイサオに嫌悪感を抱くかもしれない。他の登場人物たちも「できれば私はこうはなりたくない」と思わせる。でも私はけらけら笑ってしまった。他人の不幸はおもしろいのだ。こうした貧乏ネタが4コマ(あるいは5コマ)で綴られていく。
話が進むに連れて幸江の小学校・中学校時代の話も混じるようになる。なんだネタ切れか、と思って読んでいくと、ある時からこのマンガはがらっと様相が変わり笑えなくなる。同じようなギャグなのに笑えなくなくのだ。

朝日新聞ホームページの書評に「人生観が変わるマンガ」とあった。
ラストシーンでは不覚にも泣きました。
(2005年4月24日)
天才の裏ビデオ 製作・発売元フィッシュマン
『このビデオは、天才の雑誌「スポーツ&フィッシングニュース」の裏版ビデオとして、今までムービーでは紹介されたことのない画期的なテクニックを観ていただくために、本誌編集部が自主制作したものです。』とパッケージの裏側に書いてある。そういうビデオ。
武田栄氏の「フロートリグのメバル釣り」、小林良彰氏の「マットソニック鱒釣り」の2本が収録されている。好みの問題はともかく、擬餌針釣りをする人にとって参考になること間違いなし。
60分で1980円。内容からすると安い!ちなみにやばいシーンはありません。(2005年2月27日)
幕末暗殺 黒鉄ヒロシ著 PHP文庫
幕末から明治にかけての暗殺を描いた漫画。
いやー殺しまくってますね。日本人は比較的過激な行動をとらない民族と思ってるんですが、こうしてまとめて見せられるとすごいですわ。歴史は血を見ずには進まないのか!と思います。
「坂本竜馬」も出ています。こちらもおもしろいです。(2005年1月26日)
スローターハウス5 カート・ヴォネガット・ジュニア著 ハヤカワ文庫
第二次世界大戦で捕虜となり、ドイツのドレスデンで連合軍が行った史上最大の無差別爆撃を経験したヴォネガットが書いたSF小説。映画化もされている。
主人公のビリー・ピルグリムは自分の意思とは関係なく時間旅行してしまう。ある時はアメリカの検眼医として、ある時はトラルファマドール星の見世物として、ある時は連合軍の歩兵として、話はくるくる進んでいく。そしてドレスデンへ。
えらく悲しい気持ちになる本。(2005年1月26日)
ブラックバスがいじめられるホントの理由 青柳純著 つり人社
話題の特定外来生物である。今日現在、ブラックバスやライギョは当面、特定外来生物には指定されず、要注意外来生物として扱われることになるらしい。
この本は外来魚問題を整理して伝えることを目的に書かれている。著者はブラックバス擁護派のように思われるが、内容は主義主張ではなく冷静、公平な事実確認となっていてわかりやすいと思う。
著者が運営しているゼゼラノートはこちら。(2005年1月26日)
これでも喰らえ!海賊版 小林良彰著 小林重工
著者は「あったらいいなを形にする、理論と技術のファクトリー小林重工」のCEO小林良彰氏。氏はここのところ携帯サイト爆釣チャンネルのコラムで激文中である。
本書はその内容をペーパーベースでまとめたもの。携帯電話に疎い私としてはありがたい。
本書中では主にマットソニック理論について語られている。とってもわかりやすい、と言いたいところだがやはり携帯サイトということもあってかやや情報量が少ない。しかしその内容を体感することは簡単だ。小林氏の理論内容はつり人社の雑誌などにも時おり掲載されているし、何よりもライヴに来れば一発!笑いと共に脳も痺れます。
小林氏は釣り大好き人間であるが、一つのルアーを元に語るところは政治であり、経済であり、企業倫理であり、未来である。「釣り」は氏の表現方法の一つに過ぎない。ジミー・ペイジのレス・ポールと同じだね。それほどよく消化されているのだと思う。だからそれについて行くのはたいへん。残念ながら私はついていけてない。
ちなみに本書の中で一番私が好きなフレーズは「オカッパリ。要するにパンク。」です。

なお、本書はフライショップ「ROCKS」で取り扱い中(と思う)。(2005年1月24日)
どすこい 京極夏彦著 集英社文庫
京極夏彦氏といえば怪奇趣味たっぷりのミステリー作家だが、読んでいるとときどき妙なユーモアがあっておかしい。少なくとも私はおかしい。例えば「砂漠の中でアユを見る」などというフレーズがあったりしておもしろいのだ。この「どすこい」は爆笑必至である。
構成はなかなか凝っており、1話目の作者が2話目の登場人物、2話目の作者が3話目の登場人物、というように続いていく。ややこしい。ちなみに1話目の作者名は新京極夏彦になっている。さらにタイトルは有名小説のパクリになっており、第4話のタイトルは「パラサイト・デブ」である。
この本のキーワードはデブ、というより相撲取り。そして忠臣蔵。これだけではなにがなんだかわかんないので読んでみることをお勧めする。
京極ファンはイメージ崩れるだろうなあ。(2005年1月23日)
出張先は北朝鮮1・2 呉栄進(オ ヨンジン)著 作品社
行ってみたい外国といえば朝鮮民主主義人民共和国。いったいどんな国?
韓国電力の職員である著者が、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)による軽水炉建設のために北朝鮮に赴任、その建設現場で体験したことを漫画とエッセイで綴っている。548日間の滞在は韓国人としては最長とのことである。
著者が北朝鮮に行ったのは政治とか思想とかそんな理由ではなく、あくまでお仕事。だからかかわってくる北朝鮮の人もごく普通の人達。要するに建設現場の労働者の方たちです。私らと変わらんなーと思えるところと、なんでーと首をかしげるところと、やっぱりなーと思うところと、いろいろです。逆に韓国の人達の北朝鮮に対する視線も伺えて興味深い。おもしろい本です。(2005年1月23日)
猛禽類の衣食住 パンク町田著 どうぶつ出版
これは珍書の部類に属するのではなかろうか。ワシだのタカだのフクロウだのの飼育方法が紹介されている。このパンク町田氏は猛禽類愛好家(いるんですよこういう人達が)の中では有名な方。インタネーットで検索するとあちこちに名前が出てくる。
本業は猛禽類の調教などをされているらしい。昨年だったと思うが、氏が調教を行っている施設からタカが3羽くらい盗まれたことがあった。たくさんのワシ・タカが調教のために預けられているのだ。盗難にあったタカの飼い主がニュースのインタビューに応じていたが、20代後半くらいの女性だった。日本はペット大国なのかもしれない、と思った。
ちなみに貧乏度合いを競い合うテレビ番組があるが、パンク町田氏はそれに出演していた。猛禽類の調教もたいへんなようである。(2005年1月23日)
ルーガルー 京極夏彦著 徳間書店
京極夏彦氏、唯一のSF小説とのこと。
この本は、一般の人からあらゆる分野においての近未来に関するアイデアを募集し、それを材料に書かれている。だから不気味にリアル。きっとこんな製品作っちゃう、きっとこんな法律作っちゃう、だからきっとこんな人間になっちゃう、という未来が次々と登場する。なんだか近未来というよりも、政治的に、あるいは宗教的に統制されているどこか遠い外国の話のような気がする。
登場人物は感情移入できそうでできない未来の少女たち。でも中にはぶっとび系の娘もいてひと安心。(2005年1月23日)
神の大きな手 谷克二著 河出書房出版
東京駅に古本屋さんが店を出していたので覗いてみた。古本といっても人が読んでから売り払ったものばかりではなく、新品(新古書とでも言うのか?)も多い。その中に谷克二氏の本があったので迷わずに買った。
「アラスカ羆の谷」を読んで以来、それとなくこの著者の本を探していたのだがなかなか見つからなかった。読後の静かな感動がたまらない作家である。
谷克二氏の小説は日本では珍しいと思われるハンティングを題材にしている。ハンティングは趣味の世界なのだけれども、それだけでは理解できないなにか、があるみたい。そこが魅力。(2005年1月23日)
巷説百物語 中央公論新書  続l巷説百物語 中央公論新書  後巷説百物語 角川書店
京極夏彦著
これはおもしろい。感動的におもしろいです。京極夏彦氏の著書はやたらと分厚いので敬遠していましたが、「後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)」で直木賞受賞されたとのこと。これを機会にと思い本を手にしましたが、文字通り、寝る間も惜しんで読みましたです。「非暴力必殺仕掛け人怪奇版」といった内容。トリックの解説部分では「そんなこたあねーだろ」というのもあるのですが、そんなのがどこかへぶっ飛んでしまうほど登場人物たちが魅力的です。小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平といった怪しげな連中が使う江戸言葉の気持ちよいこと!ちなみにこの3冊、全部で厚さが12センチでした。
このシリーズはアニメにもなっていて、神奈川テレビでは日曜の深夜0時15分くらいから放映しています。こちらもなかなかいいです。
新選組血風録 角川文庫  燃えよ剣 文芸春秋
司馬遼太郎著
私は歴史に弱い。ネアンデルタール人とクロマニヨン人の区別しかつきません。特に日本の近代史となるとさーっぱりです。これではいかんなと、やたらと人が殺される「新選組血風録」を読んでみました。ビートたけし氏が出演していた「御法度」という映画はこれが原作なんですね。
これがおもしろかったので続けて読んだ「燃えよ剣」は久々の小説部門でのヒット!これはいいですねえ。土方歳三の人生と言うか生き様に共感する人は多いんでしょうね。違うかな?
自然の中の絵画教室 布施英利著 紀伊国屋書店
レオナルド・ダ・ヴィンチいわく「ダメな画家は画家に学ぶ。優れた画家は自然に学ぶ」。
この本では光・空間・動き・形と色・生命をテーマに、まずはそれらに触れるための野外活動(トレッキングとか釣りとかキャンプとか)の方法が紹介され、そこから得られたものを元に美術の講義、といった形で進んでいきます。これを読むと、釣りに行く時にもうひとつ楽しみが加わります。
著者の布施英利氏は現在、東京芸術大学助教授(美術解剖学)。別な著作を書店の店頭で手にとってみましたが、そこには皮膚をはいだ人間の顔の写真が!卒倒するかと思いました。
(布施英利氏のサイトはこちら
ジャコ・パストリアスの肖像 ビル・ミルコウスキー著 リットーミュージック
私の記憶に間違いがなければ、ビレリ・ラグレーン、ヴィクター・ベイリー、レニー・ホワイトの三人が「ザ・フロント」というバンドを組んで来日したことがあります。
都内のライブハウスで演奏があったのですが、私はそれをヨチヨチと見に行き、開演前のトイレでヴィクター・ベイリーと一緒になるという得がたい経験をしました。
ギグの半ばで、ジャコのインストゥルメンタルの曲が始まり、それに歌詞を乗せてベイリーが歌いました。私には内容はわかりませんでしたが、ジャコのことを歌っていました。
悲しかったです。
武術を語る 甲野善紀著  徳間文庫
桑田真澄投手が師事する武道家がこの方、甲野善紀氏。
私も1度、居合いの演武をNHKの番組で見ましたが、それはすごいものでした。
静止状態からの信じがたいからだのさばき。スポーツとは一線を画する内容は迫力でした。
この本は甲野氏の武術の歩みを日本の武道家を紹介しつつ語るもの。
「おもしろい」とは言いがたいですが、世の中にはこんな人たちもいるんだ、という点ではたいへん興味深いものです。
なお、この本で紹介されている身体保全の基礎運動「後手合掌」をさっそく行ってみましたが、肩の筋を違え、のた打ち回りました。痛かったです。
死物学の観察ノート 川口敏著 PHP新書
自然科学の本としては異例とも思える軽い語り口。楽しく読めます。
もっとも内容がタヌキやウサギの解剖の話ばかりですからヘビーな語り口でこられても困ります。
哺乳類の死体を拾って、寄生虫を殺すためにいったん冷凍保存。そして解剖。骨をばらし、生殖器(!)を保存。そうして集めたデータから動物のいろいろな行動を導き出します。
研究というのはこんなふうにやるものなのかあ。
著者の卒論はモグラだったそうです。でもモグラの捕獲方法は紹介されていません。
うーん知りたいなあ。捕まえたいなあ。トラップではないみたいだけど・・・
イラストも著者が描いていますが、たいへん上手です。
日本妖怪巡礼団
荒俣宏著
集英社文庫
動く百科事典・荒俣宏が日本妖怪巡礼団を組織し、日本のオカルトスポットを巡礼します。
オカルトスポットってどこ?と思いますが、あるわあるわ、六本木から始まり鈴ヶ森、伊豆、横浜・・・
タヌキ、天狗、河童とてんこ盛りです。

ちょっと恐い
ティキシイィ
C・W・ニコル著
角川書店
本当はニコル氏の「勇魚(いさな)」を紹介しようと思いましたが、本を貸した友人は今山形県に住んでおります。
返せー。
野外調査のために極北のイヌイットと生活を始めたた白人の若者が、ひょんなことから自然を味方につけ、シャーマンのようになっていく、
ちょっと不思議なお話です。
オーパ!
開高健著・高橋昇写真
集英社文庫
開高健・高橋昇の超強力コンビが世に放ったオーパ!シリーズの第一弾。
現地からの誘いでアマゾン川に乗り込んだ開口健氏。待ち受けるのはピラーニャ、トクナレ、ピラルクー、そして黄金の魚ドラード!
思わずルアーを握り締め(痛い)「かかってこーい」と叫んでしまいます。
本書の中でナビゲーター役として登場する醍醐麻沙夫氏も「アマゾンクライマックス」といピラルクーの釣行記を書いています。
スローカーブを、もう一球
山際淳司著
角川文庫
あまりにも有名な「江夏の21球」を収めたノンフィックション集。
スポーツをすること、ゲームをすることの厳しさ、激しさ、残酷さが全編を疾走する感動の一冊。
読むのがちょっとつらいです。
白色山塊
戸川幸夫著
徳間文庫
戦前の満州。東寧県の参事官田中は人食いトラ王大虎(ワンタイフー)の出没に困り、ユーロンフェイというトラ撃ち名人の弟子となり、王大虎に挑みます。トラとの命を懸けたすさまじい駆け引き。狩猟というのはこんなにすごいことなのかと思わされます。
しかもこの話はまったくのフィックションではなく、モデルがいるというのでさらに驚きです。
釣り時どき仕事
夢枕獏著
中公文庫
夢枕獏氏が書く釣りエッセイならおもしろくないはずはない!と思って買いましたが、正解。
タナゴ釣り、ニュージーランドのマス釣り、北海道のサーモン釣り等や釣り小屋を建てたこと、河川工事に嘆き、怒ること等、話題満載。
笑えるのは「幸福な家庭に、幸福な釣りはない。幸福な釣りに、幸福な家庭はない。」という結婚式の祝辞(?)。
「本日釣り日和」もあります。
パパラギ
酋長ツイアビ著(?)
立風書店
西サモアの酋長ツイアビがヨーロッパを訪れた後、故郷の民にパパラギ(白人)の生活、文化について語った本。
痛烈な文明批評になっています。
職業の説明は「喜び勇んでしなくちゃならないが、たいていちっともやりたくない何か」となっています。
人生そのものについて疑問を持ってしまう本です。
川釣り
井伏鱒二著
岩波文庫
井伏鱒二氏の釣りエッセイ。釣りの内容は主に鮎と渓流です。
時代が変わっても釣師の本質は変わらないんだなあ、と妙なところに感心してしまいます。

また、この本では私も行ったことのある雨河内川や河津川も出てきてうれしいですね。
なかなかユーモアセンスも効いてます。
イワナの夏
湯川豊著
ちくま文庫
フライフィッシングのエッセイ集。
渓流で乞食をする不思議な人の話やダムの底に降りてライトで照らしながらイワナ釣等、奇妙な体験談もありますが、
ほとんどが釣り師だけが体験する貴重な時間の流れの中での出来事ばかりです。
麻雀放浪記(一)〜(四)
阿佐田哲也著
角川文庫
私は麻雀をやりません。コンピューターゲームをやったときに自分に白発があり、対戦相手が中を捨てたのでチーをしてしまったほどです。
しかし阿佐田氏の麻雀小説はおもしろく、教えられることもたくさんあります。
やっぱり「生きている」ことを相手に実感させる人物というのは魅力的です。
北極点グリーンランド単独行
植村直己著
文春文庫
1978年に行われたグリーンランドから北極点までの犬橇による単独行の記録。
ホッキョクグマ、ブリザード、乱氷と戦いながら植村氏と犬たちは北極点を目指します。
北極点には何があるのか?何で北極点にいくのか?
迫力の本です。
帝都物語 第壱番〜第六番
荒俣宏著
角川文庫
あなたは魔術を信じますか?
式神を操り帝都崩壊をたくらむ魔人・加藤保憲。加藤を阻止せんと立ち上がる多くの人々。
歴史上の人物、現存の人物、果ては作者荒俣氏まで登場するすごい小説。
映画化もされましたね。
キリマンジェロの雪
ヘミングウェイ著
角川文庫
「キリマンジェロの雪」を始めとするヘミングウェイの短編集。
フライフィッシャーの間で有名な(?)「二つの心臓を持つ大川」も収録されています。
もっともニック・アダムスがやるのは毛鉤釣り仕掛けを使った餌釣りです。
ヘミングウェイは英語が読めればもっともっと楽しいのだと思います。
オオカミよ、なげくな
ファーレイ・モウワット著
紀伊国屋書店
カナダ野生生物保護局からカリブーを根絶やしにしているオオカミの生態調査を依頼されたモウワット氏。
彼が北極に近いバーレンランドで見たものは?
冷静でいながらユーモアたっぷり。そして少し悲しい物語。
著書にはこの他「犬になりたくなかった犬」「船になりたくなかった船」などがあり、どちらも爆笑!
ジュラシック・パーク(上下)
マイケル・クライトン著
ハヤカワ文庫
ため息をついただけでエージェントが金を払うという噂のあるマイケル・クライトン氏。
ご存知、映画ジュラシック・パークの原作です。
映画のほうはCGを使った映像が衝撃的でしたが、原作のこの本はSFとして大変優れた作品だと思います。
全部が雌になるように、必須アミノ酸であるリジンを体内で作れないようにDNAをコントロールされた恐竜のクローンたち。
しかし生命は人間の知恵をあざ笑うかのように活動し始めます。
続編のロスト・ワールドもおもしろいです。
神々の山嶺
夢枕獏著
集英社文庫
柴田錬三郎賞に輝いた山岳小説。
エヴェレストで消息を絶ったマロリーのカメラが見つかった。マロリーはエヴェレスト登頂に成功したのか?その謎を追う深町の前に天才クライマー羽生丈二の影が。
登山シーンではめちゃめちゃに緊張してしまいます。
陰陽師
夢枕獏著
文春文庫
原稿を撒き散らし、編集者がそれに飛びついた隙に釣りに行ってしまうと言われる夢枕獏氏。
平安時代に実在したとされる天才陰陽師、安倍清明のお話です。
私はこういったもののけ系の本が大好きです。相棒の源博雅とのトークもたまりません。
漫画化されたり、NHKでドラマ化されたりしましたが、NHKの方はどうかと思いますな。
湖沼のルアー・フィッシング
西山徹著
つり人社
この本は20年以上前に購入し、一度捨てて、また買い直しました。
故西山氏の釣りの入門書は「科学的」であるところがいいと思います。
今読んでも古さは感じません。
わたしの野生動物記
阿部襄著
少年少女教養文庫
戦前の満州やパラオで行われた学術調査を子供向けに書かれた本。
自然の中に入ると生き生きとしてくる著者のようすがうかがわれます。また、一般の民間人がどのような気持ちで満州にいたのか、というところも興味深いものです。
それにしてもきれいな文章ですね。
この本はさすがに絶版だろうなあ。
試合 ボクシング小説集
ジャック・ロンドン著
教養文庫
「野生の呼び声」「白い牙」など、犬を取り扱った小説で有名なジャック・ロンドン氏のボクシング小説集。
カバーの写真はジャック・ロンドン氏自身だそうです。
作品には「くさい」という批評も出そうですが、ボクシングに全精力を傾ける著者が繰り出すパンチは抜群です。
百億の昼と千億の夜
光瀬龍著
早川文庫
私の大好きなSF作家故光瀬龍氏の「百億の昼と千億の夜」。
萩尾望都氏の漫画化により一番有名な作品でしょう。
ただ、私は光瀬龍氏の作品の中では異色の作品だと思います。
我々ははなぜ生まれてきたのか?我々はなぜ滅びなくてはならないのか?
この謎を追って阿修羅王・シッタータ(釈迦)・おりおなえ(プラトン)の3人は惑星開発委員会を操る「シ」に挑みます。
そこに立ちはだかるナザレのイエス。壮大なスケールで物語は進みます。
コン・ティキ号探検記
ヘイエルダール著
筑摩叢書
「南米ペルーからポリネシアまではイカダで行くことができる」ことを証明するための実験航海記。
おそらく世界で一番有名な探検記でしょう。
こういうことをやったということもすごいですが、こういうことをやろうとういう発想そのものに圧倒されます。
マタギ
戸川幸夫著
クロスワード選書
昭和30年頃に東北地方のマタギを取材した本。
雪山に狩衣一枚で眠り、一日五里の山を走る。山神様を信仰し、独特の文化を持つマタギの人たちの不思議な世界。
貴重な記録集です。
マクリーンの川
ノーマン・マクリーン著
集英社
R・レッドフォード製作・監督、ブラッド・ピット主演で有名な映画「リバー・ランズ・スルー・イット」の原作。
モンタナ州を舞台にノーマンと両親・弟のポールの人生はフライフィッシングを横軸に進みます。
美しいモンタナの自然とノーマンたちが生き生きと描かれた佳作です。
フライフィッシャー以外の人にもお勧め。
しかしあの映画を見てFF始めた人って本当に多いんですか?
ソロモンの指環
コンラート・ローレンツ著
早川書房
ソロモン王は魔法の指環を使って動物たちと話をしたという伝説がありますが、
故ローレンツ先生はそんなものを使わなくてもカラスやガチョウやオウムとお話をするノーベル賞学者。
動物行動学入門というサブタイトルのついたこの本は、当時の動物行動学が大変わかりやすく理解できるものだと思います。
しかし内容は堅い話ではなく、どちらかといえば笑いの連続。ローレンツ先生と動物たちの駆け引きが続きます。
釣り人にも役立つ本だと思います。
人イヌにあう
コンラート・ローレンツ著
至誠堂書店
コクマルガラスの研究でノーベル賞を受賞した故ローレンツ氏が書いたイヌの行動についての本。
どうして人間はイヌを飼うようになったのか?イヌはどんな動物なのか?
ソロモンの指環と同様に笑いの連続の中から興味深い事実が語られます。
この本の難点は読むとイヌが飼いたくなってしまうことです。
南北アメリカ大陸縦断記 北米篇:もっと遠く(上下) 南米篇:もっと広く(上下)
開高健著 写真:水村孝
文春文庫
故開高健氏がアラスカからフエゴ島まで釣竿片手に南下します。
読み応えのある文章はさすが。また水村氏の写真もシャープです。
キングサーモン・パイク・マスキー・パヴォン。
一度でいいから(?)こんなことをやってみたい!とみんな思いますよね?
W・C・フラナガン著 小林信彦訳 ちはやふる奥の細道
小林信彦著
新潮社
一言で言うと、俳聖・芭蕉は忍者だった、という小説。そうなのか?
よく冗談が通じる、通じないと言いますが、この本を読んで笑える人と何のことか基本的によくわかからない人がいると思います。
私は小林信彦氏の小説は電車の中では読みません!
小林信彦氏の小説は大好きですが、特にこのちはやふる奥の細道や唐獅子株式会社などのユーモア小説(?)には感動です。
シートンの自然観察
E・T・シートン著
動物社
動物記で有名なシートンの作。
この本の原題は「Animal Tracks and Hunter Signs」。つまり動物の足跡などを見分けたり、追跡したりする方法について解説されています。
高度な技術を持ったナチュラリストやハンターというのはこんなにすごいものなのか、と感心させられます。
これを読むと釣り場に行った時、けっこう楽しいですよ。
魚の博物辞典
末広恭雄著
講談社学術文庫
お魚博士として有名な故末広先生のお魚辞典。アイゴからワカサギまで、あいうえお順に魚が紹介されています。
末広先生のいいところは生態だけでなく、食味はどうか、釣り方はこうとかいったことまで書かれていることです。
お正月にこたつの中で読むといいかも。