「レット・ザ・ジュース・ルース
ビル・エヴァンス・グループ ライヴ」
ビル・エヴァンス・グループ

ビル・エヴァンス:ソプラノサックス・テナーサックス
チャック・ローブ:ギター
ジム・ベアード:キーボード
ダリル・ジョーンズ:ベース
デニス・チェンバース:ドラム

ジャズでビル・エヴァンスといえば、普通は当然ピアノのビル・エヴァンスである。
このCDもショップのピアノのビル・エヴァンスのところで見つけた。有名人に同姓同名がいるのはいろいろたいへんだ。

このアルバムはいろいろな意味で記念的である。
まず、ビル・エヴァンスはその才能は評価されていたものの、実力が広く認められたのはこのアルバムあたりかららしい。
さらに、このアルバムはブルーノート東京で行われた初のライブ録音なのである。
そして、その場に私がいた。

ビル・エヴァンスの魅力はしなやかな音の質感。
それに触るとぴりっと背中が痺れますね。
曲作りもうまい。

初のライブ録音らしくこのアルバムの音はそんなによくない。
チャック・ローブのギターが少し奥に引っ込んでいる気がする。かわいそうである。
それに比べてダリル・ジョーンズとデニス・チェンバースの暴れっぷりは圧巻である。
オープニング曲「Let the Juice Loose」のベースソロ、ドラムソロでは
「えらい!あんたはホントによくやった」
と思わず肩を叩いてあげたくなる。
なんて今だから言っているが、ライヴ当日は場内騒然、興奮状態でした。

ビル・エヴァンスは子供の頃ピアノをやっていて、著名なコンクールで入賞したりしていたんだそうだ。
「神童」と言われていたらしい。
私なんかは「豚息(とんそく)」「トカゲ」「人類の例外」などと称されていた。今では「かまいたち」である。
人生ずいぶん違うものだと思う。

その容貌やシャープな音楽性からすごく音楽に対してストイックな感じを受ける。
ところがインタヴューを読むと、レコーディングなんかは一刻も早く終わらせて遊びに行くことを考えているそうだ。
そのインタヴューでも「これから日野皓正とゴルフに行くんだ」と言っていたと思う。
魚釣りも大好きとのことである。

いい人だ。






(2005年2月19日)