「ガズーズ」
ゴング

ミレイユ・バウア:ヴィヴラフォン、マリンバ
ミノ・シネル:コンガ、アフリカン・ベルゴング、トライアングル、マラカス、トーキング・ドラム、テンプルブ・ロック
アラン・ホールズワース:ギター、ヴァイオリン、ペダル・スティール・ギター
ディディエ・マレルブ:テナー・サックス、フルート
ブノア・モーラン:ヴィブラ
ピエール・モーラン:ドラム、マリンバ、ティンパニー、グロック
フランシス・モーズ:フレットレス・ベース、ゴング、アコースティック&エレクトリック・ピアノ


ゴングはフランスのロック・グループで、もともとはデビット・アレンというカリスマ的なヴォーカリストが率いていた。
当時のアルバムを聞くとプログレッシヴ・ロックというよりは前衛音楽っぽい。自らをゴング星人と称し、天に向かって何か祈りをささげる写真なんかを見ると、ちょっと友達にはなりにくいのではないかと思われる。
しかし途中でデビット・アレンら中心メンバーが抜けてしまい、デビット・アレンのいないゴングなんて、というファンも多かったのである。しかし残されたメンバーは新メンバーを募り、新しい方向性を模索した。
そして発表されたのがこのガズーズである。

このアルバムでは実質的なリーダーシップをドラムのピエール・モーランが握っており、曲もピエール・モーランとアラン・ホールズワースの二人がほとんど提供している。また、メンバーを見るとやたらとパーカッショニストが多い。そのため音が実に緻密である。アレンジもばっちり決まっていてかっこいいことこの上ない。
ロックではあまりなじみのないヴィブラフォンやマリンバがきっちりと音を構成し、やや節操のないピエール・モーランのドラムが炸裂する。そして止めを刺すようにアラン・ホールズワースのギターが暴れるのである。
バックが整理されているからかアラン・ホールズワースのギターもたいへん聴きやすい。アラン・ホールズワースの入門としてもおすすめの一枚である。

ガズーズというのはガス入り、炭酸入りの飲み物のことですよね。ちなみにこのアルバムタイトルはアメリカと日本盤のもの。フランスからの輸入盤はタイトルがエクスプレッソになっていて、アルバムジャケットもパリの夜空をコーヒーメーカーとコーヒーカップが飛んでいるイラストだったと思う。フランス盤の方がかっこよかったなあ。

なお、デビット・アレン脱退後にゴングの名前を使うことについてはいろいろもめたらしい。
聞いた話ではデビット・アレンはヴァージン・レーベルに現れ、会社の壁に絵を描くなどして抗議したが、まったく相手にされなかったとのことである。



(2007年1月1日)