「毛虫でけけけ」
2004年6月5日(土)晴れ〜6月6日(日)くもり一時小雨
6月5日、6日の両日、「森と水」主催のツアー「奥只見山菜イワナキャンプ」にBOSSさんと参加しました。
このレポートは、本来なら釣り釣り日記に載るべきなのでしょうが、都合により野外の想いに掲載することと致します。
なぜなら

魚が釣れなかったからです
魚が釣れなかったからです
魚が釣れなかったからです


3回言いました。勘弁してください。

ここは南氷洋か?北氷洋か?白熊出てこーい!
感慨にふける一行


○参加の経緯

「キャンプしながら釣りがしたい!」

しかしいきなり一人で始めるのは無謀。というよりどこへ行ったらいいかわかりません。
昨年からいろいろと調べていたのですが、BOSSさんと相談の結果、この「森と水」のツアーに参加することになりました。
ツアーはいくつか組まれているのですが、日程の関係からこの「奥只見山菜イワナキャンプ」に決定。
ちなみに必要体力度はフツーとのことです。

ほんとかよ。


○行程概略

7時12分東京発の上越新幹線で浦佐駅に到着。
同じ電車で到着したTさんと共にガイドの三井さんの車でコンビニへ。
ここでもう一人のガイドである山田さんと参加者のSさん、Tさんと合流しました。
コンビニで当日の昼食、翌日の朝食を購入して奥只見湖の駐車場へ移動。
支度を整えて林道を歩きます。
テン場まで休憩を入れて4時間40分。
タープを張った後は釣り。私とBOSSさんはボウズ。餌釣りの人たちが数匹ゲット。
釣りから戻って焚き火を囲んで夕食。疲れたので午後8時頃就寝。

6月6日は朝4時半起床。惰眠をむさぼるBOSSさんをたたき起こし、5時出発。
1時間ほど歩いて上流の枝沢に入渓。私とBOSSさんはボウズ。餌釣りの人たちが数匹ゲット。
10時頃テン場へ戻り昼食。後片付けをして12時頃出発。
奥只見湖の駐車場まで帰りは林道を3時間でした。
私とBOSSさんは三井さんと温泉に入ってから浦佐駅へ。
けっこう混み合う新幹線で東京駅に向かいました。
昔、ゼンマイ採りの人たちがつけた
橋の跡だそうです。


○歩く

今回のツアーの装備で一番頭を悩ませたのが靴でした。
林道の途中にトンネルがいくつかあり、その中に水がたまっているのでウェーディングシューズがよい、という話です。
しかしウェーディングシューズで4時間歩きはつらい。
と悩みましたが、結局ウェーディングシューズで出発。
キャンプ用のジョギングシューズはザックにつめました。
トンネルの中の水は今年は少ないそうで、たいしたことはありませんでした。

帰りはウェーディングシューズが濡れてしまったこともあり、ジョギングシューズで歩きました。
ジョギングシューズではちょっとつらかったですね。トレッキングシューズがほしい、と何度か思いました。
次回、このツアーに参加するとしたら、ウェーディングシューズとローカットのトレッキングシューズでしょうかねえ。

歩く時間は長かったですが、きつい登りは最後だけでしたので、わりと楽しく歩けました。
準備体操中のBOSSさん
最初の休憩に出てきた飲み物
だいじょうぶか、おい


うまい!


○越える

今回のツアーで、私にとって衝撃度ナンバー1は林道に覆いかぶさる雪渓でした。
雪渓があることは聞いてましたが、三井さんからアイゼンは不要と説明されていました。
しかし!
なんじゃこりゃー
ものすごい量の雪が林道をふさいでいます。
これを越えるのですが、足を滑らせるとはるか下の沢に落っこちてしまいます。

私は高い所はキライ。ジェットコースターに乗っても同じ料金で他の人の倍楽しめてしまいます。
特に往きはウェーディングシューズがすべるのと、背中のザックが動いてバランスが取りにくいのとで怖い思いをしました。
自分でもはっきりわかるほど顔がこわばりましたですね。
おおー緊張してる、緊張してる。りらーっくす、りらーっくす
などとつぶやきながら、いくつもの雪渓を越えました。

2回ばかりもうだめ、という場面がありましたですね。

○背負う

最初は世附川などで使っている45リットルのザックにしようと思ったのですが、60リットルのザックを指定されました。
60リットル?
石井スポーツへ行ってシュラフなどと共にザックを買ったのですが、
「これがいいですね」
と店員がうれしそうに60リットルのザック(カタログ上では68まで入ることになっている)を出してきた時には2、3歩引いたですよ。
これはいけない、と思いました。
まあ、家に帰って45リットルの横に置いたらそれほど馬鹿でかいわけではないので少し安心しました。
2週間くらい前から装備をつめてみたのですが、なるほど、これくらいの容量が必要なんだなと痛感。

しかしその一方で、ツアーをキャンセルしちゃおうかなあーと通勤の東海道線の中で時々考えてました。


○食べる

食事は各自がコンビニで購入したものを除き、全てガイドの方が作ってくれました。
これはなかなか贅沢ですよね。
そうめん、山菜の天ぷら、イワナごはんなどなど。シンプルなものばかりでしたがどれもおいしく食べられました。
しかし
夕食に出されたゆでた山菜をぱりぱりと食っていると、突然口の中に激痛が!
「からい」
次に口の中にたくさんの小さな針が突き刺さるような痛みが走りました。
「くまけけけ」
のたうつ私を見て
「うがいして!うがい」
ガイドの方たちが言います。しかしうがいをしてもまったく状況に変わりなし。
「うげげげ」

山菜でこんなことになるはずはないので、毛虫が混入していたのだろうとのことです。

うげげげげ
1日目の昼ごはんにはそうめんがでました。
ゆであがったそうめんは地面の上の葉っぱに盛られました。
みんなでニワトリのようにつつきました。

ちなみにそうめんの水切りは、
三井さんがランディングネットでやってました。
夕食用のイワナ(右)と
その腹の中に入っていたトカゲ(左)




○寝る

今回はタープ泊。
ちなみに私はキャンプといえばテントでしか寝たことがなく、しかもキャンプ場以外でキャンプするのも初めてです。
したがって現地でタープを見たらけっこう衝撃だろうなあ、と思ってました。
テン場に到着し(といっても林道の脇)、三井さんが立ち木を利用してシートで屋根を作ります。
これで終わり。

壁はありません。壁がないから出入り口もありません。床もありません。
JRの多摩川鉄橋の下に住んでいるおじさん達でももう少し良好な居住環境を獲得しているでしょう。
しかしなぜか
「こんなとこで寝るのかー。バッタみたい。」
とちょっと感じただけで、あんまりびっくりしなかったですねえ。

夜は長袖シャツの上に薄いフリースを羽織っても寒いくらいでしたが、用意していった「3シーズン用羽毛シュラフ」+「シュラフカバー」の威力はすさまじく、たいへん暖かく眠ることができました。

夜中に目を覚ますと、遠くに沢の流れの音と怪しい鳥の鳴き声。いいもんだなあ、と思いました。

テン場の近くにいたチョウ。
金属光沢のあるきれいな羽でした。
なんていうチョウでしょうね?
熱心に水を飲んでいたので、
沢の水を少しまいてあげました。


○釣る

今回行った沢は、沢といってもなかなか大きな川で、雪代の関係もあり水量たっぷり。
今回は当然ウェーダーではなく、ネオプレーンソックスにシューズでしたが、水温が8〜9度しかなく、長い時間水に使っていることができませんでした。
川虫の姿もなく、魚の姿もなく、私とBOSSさんはボウズでした。
枝沢をまめに探った方が良かったかもしれません。

ちなみに雪代は7月頃まで続くそうです。
 (左)
 取水ダムで果敢に竿を出すKさん。
 岩魚を釣りましたが、高すぎてばれてしまいました。
 (右上)
 あまりの水量に渡渉できず、怒りに震えるBOSSさん。
 私はやめようやめようと絶叫しました。
 (右下)
 大きな落ち込みの脇を狙う三井さん。残念ながら反応なし。
釣り上がる我々の行く手を阻む雪渓。
これが崩れてきたらインディー・ジョーンズの世界だなあ。
その時はBOSSさんを置いて逃げよう。


○山菜を採る

私は世の中に「山菜採り」という行為があるのは知っていましたが、これほどまでに情熱を傾ける人達がいるとは思っていませんでした。
BOSSさんも往きの新幹線の中で「山菜の全て」みたいな本を熱心に読んでいましたが、私は「?」という感じでした。

行程中はたいへんでした。
「ウドだ!」
と叫んでTさんが移植ごてで土手をほじくり返し、
「コシアブラだ!」
と三井さんが叫ぶとみなして木に飛びつき、
「コゴミだ!」
とBOSSさんが叫んで崖を転げ落ちていました。
私は最初、圧倒的な冗談かと思っていたのですが、どうやらこのツアーの大きな目的が山菜の獲得にあることをしばらくして飲み込みました。

しかし採りましたねー

帰り道、Sさんは山菜がいっぱい入った大きなビニール袋を手から下げて歩いてました。重いだろうなあ。
「そんなに採ってどうするんですか?」
「時々近所の人からもらうので、帰ったら近所に配ります。」
なるほどねー
ちなみにBOSSさんは、山菜をたっぷり持って帰るため、奥さんからザックを70リットルにするよう命令されたそうです。
ザックをパンパンにした上、トートバックも満タンにしてザックにくくりつけてました。

限界に近かったですね。
ぱんぱんの70リットルザックと
さらにずっしり重いトートバッグ。
効いてます。