「高い所はキライ」
2006年4月3日(日)くもりのち雨
栃木県の鹿沼の岩場である。
深瀬信夫さんのクライミング教室である。

今まで何回か書いたが私は高い所が嫌いだ。「高い所」とキーボードから入力しただけで、うっすら手のひらが汗ばむくらいである。ジェットコースターも同じ料金で普通の人の何倍も楽しめてしまう。
自分でもこれでいいと思っているわけではない。克服しなくてはいけない。特に渓流釣りに行くと痛感するのである。
いろいろとロッククライミングの講習会を探したが、なかなか都合がつかずに行けなかった。
今回、「深瀬信夫のアウトドア教室」で行われるクライミング講座がいいタイミングだったのである。また、この講座は渓流遡行を前提としているので、条件的にはぴったりだ。

事前に都内某所で机上講習会が行われた。講習会の後は近くの居酒屋で宴会だった。
次に本番の前日は現地に23時集合。そしてまた宴会。
「まあ、寝酒ですね。」という説明だったが宴会は午前3時まで続いた。
ちなみにタープの下での宴会である。寒いことこの上ない。しかしながら講師陣、参加者から次々と豪勢なつまみが供され、話はおもしろく、この上なく楽しい宴会であった。

午前8時出発。目的の岩場まで15分。朝のさわやかな空気の中を酒臭い息をまきちらしながら進む。
今日の生徒は9人。講師陣もほぼ同数である。講師陣は深瀬さんが率いる遡行集団「梁山泊」のメンバー&関係者である。豪華な講習会だ。
岩場に着くと各自身支度を整える。買いこんできたヘルメットをかぶり、靴を履き、ハーネスを付ける。
ハーネスをチェックしてもらうとさっそく練習である。

まずは私が確保役で別な方が壁を登る。彼が墜落したら私が制動器具(エイト環)でそれを止めるのである。
「よろしくお願いします。」「よろしくお願いします。」
声を掛け合うが、お互い不安でいっぱいである。高さは5〜6mほどだが落ちればただでは済むまい。しかも私とエイト環を立ち木に固定しているスリング(ロープを輪にしたもの)は昨日、私が結んだのである。
信じられない。
まあ、結果的に彼は無事に登り、降りてきたのであるが、緊張で肩が凝ってしまった。
彼の全体重が私の作ったスリングにかかる!

こわ
懸垂下降

高所恐怖症にはたまらない!


こんな調子でお昼の休憩を挟み、夕方までみっちり練習した。怖いなどと言っている暇はないのである。
最初はどきどきものだった懸垂下降も最後にはかなり高いところから降りても「人生こんなものだ」と思えるほどになった。
深瀬さんの説明は合理的なので、わかりやすくかつ納得しやすい。私にもできそうだ、と思わせるのである。

高い所が嫌いなのは直らなかったが、クライミングの楽しさは十分に理解できた。
これまでクライミングジムというのは、フライドチキンとポテトチップスの喰いすぎで脳をやられた人だけが行くところと思っていたが、
「1回くらいは行ってみてもいいかな」
と深瀬さんの車で駅まで送っていただきながら考える日曜日の夕方である。