奥只見遠征記(2001年8月3日〜5日)

2001年8月3日(金)晴れたり曇ったり
「難しいかな?」

只見川は以前にここを通った時の記憶よりはずっと大きな川でした。あれは福島県の南郷村でキャンプした時で、わざわざ車を走らせ、奥只見湖を見に行ったのです。その道すがら、立ち寄った喫茶店で大きな桜鱒の魚拓を見て驚き、さらにそれを釣ったのが小学生だと知ってもう一度驚きました。あんな魚が釣れるんでしょうか?
宿泊先である小白沢ヒュッテのマネージャー櫻井さんの話は、来る前にうかがったのと同様でした。
「暑い。雨が降っていない。雨が降れば釣れる。先月末も少し降ったが、その翌日は沢で尺物が釣れた。こんな年は珍しい。」
うーん・・・

さて、周辺の沢はとても小規模で文字どうりの沢。フライにはちょっと無理なようです。櫻井さんも雨が降っていないなら本流のほうがいいんじゃないか、とおっしゃるので、沢と本流の様子を見に行くことにしました。
まず、比較的大きな沢である恋ノ峡沢に行ってみました。支度をし、沢に入ると二人連れの釣り人が降りてきます。これはいかんとすぐに撤退。只見川に戻ります。
橋のたもとから入り、ポイントとしては申し分ない上流側を攻めます。時々反応がありますが、60センチの岩魚ではありません。水温は18度もあります。
ここから上流に行くのは少ししんどそうだったので、いったん川から上がり、道を歩いて300メートルほど下流から釣り上がることにしました。
これまで出会う釣り人がみんな餌釣りなので、できるだけ浅いポイントを選んでドライフライで叩いて行きます。しかし出ません。
また、さすが只見川。ところどころで渡渉するのもたいへんです。流木を拾ってウェーディングスタックの代わりにしました。

もう少しでさっきの橋、という所に大きな大きな岩があったのでそこに登って一休み。ウーロン茶で一服です。
あと橋まで30メートルくらいです。小さな魚が反応します。流芯ではなく、流れのゆるいところです。
そこでなにげなく石と石の間、30センチくらいのポイントにフライを落としました。するとヒット。
こんこんといういい引きで釣れたのは20センチのヤマメ。ありゃ?岩魚じゃないんだ。

今日から小白沢ヒュッテに2泊です。


関越トンネルに突入 奥只見湖(銀山湖) 銀山平の犬 今年はコクワガタが多いそうです
只見川 フライはイワイ・イワナ 楽しい夕食


2001年8月4日(土)雨のちくもり
「雨に唄えば」

「雨が降れば釣れる。」
そう言われても運の悪さはアイオワ級の私です。降るわけがありません。
昨日は他の人も苦労している中、とにかく1匹釣れました。1匹と2匹の差は2倍ですが、0匹と1匹の差は計り知れない無限大です。
これで運は使い果たしたと思い、どんなことがあっても雨はない、と決めつけていました。

ところが。

朝4時に起きてみると、ざんざんと雨の音。外を見るとすごい雨です。これでは釣りに出られないなあ、と思っているとしばらくしてやみました。櫻井さんに見送られて釣りに出ます。
入渓点は昨日と同じ橋の下流です。時々雨が強く降ったりやんだりと忙しい天気です。降っているときは休み、やむと進みます。出るのは小さなヤマメばかりですが、反応は昨日よりはいいようです。しかし最後まで釣れず、朝食の時間となりました。

まあ、雨も降ったんだし、明日は釣れますよ、と櫻井さんが励ましてくれます。運が向いてきました。
ところが朝食がすんでしばらくすると櫻井さんが岩が流れる音がすると言います。確かに水音に混じってごんごんというちょっと腹に響く音がします。
後で川を見に行ったところ、なんと只見川は濁流と化していました。数時間前まで自分が釣っていたところがこんなことになるとは不思議でもあり、怖くもありました。

今日1日は天気も悪く、釣りはできないとのことなので、桧枝岐の温泉に行ってみることにしました。
桧枝岐の木工製品を売っているお店に寄ろうとしてびっくり。駐車場がいっぱいです。いつからここはこんなにメジャーになったんだ!と思いましたが、道の反対側を見てもう一度びっくり。「夏の雪上まつり」というのが開催されていました。これに来た人たちの車なのです。
スキー場の一部に人工雪を敷きつめ、そこでミニジャンプのコンテストのようなことをやっていました。下のほうでは雪上にパラソルテーブルが置いてあり、焼きそばや串焼きを食べている人がいます。さらにはその横にステージがあり、なんとハワイアンダンスショーをやっていました。プログラムを見ると、この後、サンショウウオレース(なんだ?)、岩魚のつかみ取り(雪の上でやるのか?)と続き、夜には歌謡ショー、花火大会があるようです。テレビ局も取材に来ていました。
夜、櫻井さんにこのことを話すと、宣伝のひとつなんですよ、とめっきり疲れた様子でした。奥只見でも同様のイベントがあったそうです。

桧枝岐で温泉に入った後は、名物のそばを食べ、尾瀬の入り口にある御池に行き、尾瀬には行かずに近くの湿原に行って花の写真を撮りました。

朝はこんな感じでした バカボンと遊んでいると
こんな濁流に! 桧枝岐の夏の雪まつり
名物裁ちそば おいしいです 湿原の花 雨がぱらついていました

奥只見に戻ってみるとまたびっくり。只見川は澄んでくるどころか元気よく濁流のままです。
小白沢ヒュッテに戻ってみると、どうやら上流の山のほうで大雨が降ったのではないか、これはけっこうたいへん、とのこと。
夕食まで時間があったので恋ノ峡沢に行ってみて、またびっくり。とても濁りそうもない沢が濁っています。
あきらめて双眼鏡を取り出し、飛んでいるタカを観察。見つけたときは「タカだタカだ!トンビはいやというほど見ているから、これはタカに違いない!」と喜んだのですが、この釣行記を書くにあたって図鑑を確認したところ、トンビでした。しかし自然の中を悠々と飛ぶ鳥を見るのはとても楽しいものです。

夕食の時に、遊びに来ていた近所の方を交えて桜井さんと話をして愕然。この濁りは簡単には納まりそうもないとのことです。
「おそらく上流で大雨が降り、大白沢あたりで土砂崩れがあったのだろう。この鉄砲水でボート屋のボートが桟橋ごと流された。この分では魚は死んでしまったかもしれない。濁りが収まれば奥只見湖から遡上してくるが、明日・あさってでは無理だろう。」
今日雨が降ったので、沢では尺物をあげた人もいるそうですが、私は本流がだめだと難しくなります。
もっとも釣りをどうこう言ってる場合じゃないでしょうか?

やっぱり運はないな。

尾瀬まで行かなくても 近所のクロ


2001年8月5日(日)晴れ
「トンビが見送り」

すごくいい天気になりました。
朝5時に起きて只見川を見に行くと、依然として濁流のまま。恋ノ峡沢へ向かいます。
300メートルくらい釣りましたが反応はなく、また、私ではとても登って行けそうもないので諦めました。
双眼鏡を取り出して今日もバードウォッチングです。
朝食の後、小白沢ヒュッテを出発。櫻井さんが見送ってくれました。

今日、櫻井さんたちは岩魚の放流だそうです。
奥只見は衛星電話しか通じない、郵便は月2回、新聞はなし、
テレビはBSのみという南極観測所級の場所ですが、野生は豊か。
今回お世話になったのは小白沢ヒュッテです。
お客さんは釣り人と登山客がほとんどだそうです。
料理はおいしく、お酒もそろってます!
7月末頃からアブが多くなるとのこと。私も一箇所かまれました。
秋になると桜鱒が湖から上ってくるのを狙うのだそうです。
恋ノ峡沢 只見川は最後まで濁りました 天気は上々


バカボン、またね