開田・奈川遠征記


2001年9月22日(土)晴れ
「早起きは・・・」

長野県開田高原への到着はドラマチックです。塩尻インターを降り、中山道を進みます。木曽福島から361号線を登って行き、新地蔵トンネルを抜けると・・・そこが開田高原です。
道の両脇に続く白樺林、満開のコスモス、遠くにそびえる御嶽山。
さわやかな高原の風景です、と言いたいところですが、今回はあせっています。寝坊してしまいました。
朝4時半に目覚ましがなったのですが、起きたのは9時。連日勤め先で悲しい業務に巻き込まれ、すっかり疲れてしまいました。しかも世は3連休。道が混みました。
結局、開田に着いたのは4時。入漁券を買って、支度をして、西又川に入ったのは5時でした。
あっという間に日が沈み始めます。こんなに日が短くなっていたんですね!しかもどんどん寒くなります。
暗くなる前に何とか1匹、と思います。しかし川はかなり減水しており、私には難しい状況です。
それでもしばらく進むと、パラダンがふっと沈みました。
すかさず合わせると上がってきたのはアマゴ。小さいですが、ボウズを免れてほっとします。
しかし釣りはここまで。もう暗くてドライフライが見えません。

今夜の宿、プチビラMTおんたけに行くとご主人が出迎えてくれました。
昨日まではすごく暑かったそうですが、今日からいきなり寒くなったとのこと。どうして私が釣りに行くと、急に涼しくなったり、暑くなったり、鉄砲水になったりするのでしょう?
夕ごはんの後、車で10分くらいの所にあるやまゆり荘に温泉に入りに行きました。
ここの温泉はもともと透明なのですが、空気に触れると酸化するそうで、赤錆色をしています。確かに湯船に落ち込むお湯は透明です。
この温泉は飲むと内臓にいいとかで、アルミのコップが置いてあります。前回来た時には若者がこれで温泉水を飲んでいました。飲んだとたんに「おえー」とか言ってました。
何事もチャレンジですね。

温泉から上がって外へ出てみると満天の星。本当に、本当に久しぶりに天の川を見ました。
西又川もかなり減水 ずいぶんさびが出てます

2001年9月23日(日)晴れ
「凍るか?」

朝4時半に腕時計のアラームで目が覚めました。しかし外はまだ真っ暗。しばらく布団の中でじっとします。
寒い。パジャマの上にTシャツを着て寝たのですが、夜明けが近づくにつれて寒くなります。ううっ。
少し明るくなったのと寒いので5時に起きて支度をします。顔を洗うのは寒かったのでやめました。
西又川に行き、昨日釣った所の上流を攻めるつもりです。
橋に行くと誰もいません。こんなに寒くては誰も来ませんかね?ちょっと不安になって橋から川をのぞくとアマゴが泳ぎまわっています。水温は安定しているようです。
寒いのでウェーダーを履いても水に入るのがためらわれます。水温の方が気温より高いのでしょう、川面から湯気が立っています。
水が少ない上にこの状況では釣れるのかなあ、と思いながら釣り上がりますが、ところどころでドライフライに反応があります。しかし咥えません。
しばらく行くと前回来た時に24センチを釣った淵に来ました。ここも減水していますが、期待が高まります。
が、その時、でかい鴨が飛んできて、ばしゃーんと派手に着水。このやろう!と私が睨むと再び派手な水音を立てて去って行きました。もちろんここでは反応なし。
・・・鴨鍋にしてやる。

なんだかフライラインが重い?と見てみると、ガイドが凍っています!1月の河口湖じゃないんだから。凍るかなー。
寒いので少々へばり、宿に戻ることにしました。
ご主人が「釣りに行ったんですか?マイナス2度だそうですよ」と言います。
ガイドが凍った旨を伝えると「ガイドが凍るなんて開田ではないなー。珍しいですよ」
そうなんです。私、珍しいんですよ。
朝ごはんにおいしいお味噌汁を2杯いただき、やっとほっとしました。
湯気の西又川 凍るロッド
昨日この宿に泊まったのは、私たち夫婦のほかは男性が1人だけ。食事のときに話をしてみると、神奈川からオートバイで来たとのこと。
ここのご主人の大物ヤマメのごとく幅広な趣味にはオートバイも含まれます。自らハーレーダビッドソンを始め数台のバイクを所有し、バイクでここに来た人には特典もあります。
その男性の帰り際にご主人がホームページに載せるからと言ってデジカメで写真を撮っています。私も隣に並び、ホームページに載せるからとつぶやいて写真を撮りました。
とまどいながらもポーズ ライダーは去り際がいい

私が今日は末川を釣ってから奈川高原行くと説明すると、ご主人は末川本流はあまり良くないからと言って、末川に流れ込む沢を教えてくれました。
さっそくわたしたちもチェックアウト。ライダーのようには颯爽といかず、カタカタと出発です。
また来年来ます!
さて、教えていただいた沢の橋に着きました。いい雰囲気の所です。どれどれと川を覗いてみると・・・
「おおっ!水がない!」
少し上流にはよどみのような流れがありますが、橋の下には流れがありません。からからです。それでも水の流れる音がします。伏水流になっているんですね。
これでは釣りになりません。
そこで本流である末川に行ってみると、これまた同様です。ありゃーと思って細い流れを見ていくと、小さなプール(?)に岩魚がいます。近づくと石の下に隠れましたが、そこは私と配偶者でかかれば網ですくえそうな所です。この魚は釣る気になりません。あきらめてまわりの花やキノコの写真を撮って、奈川高原に向かいます。

水がない・・・ まゆみ? ???
シオンがいっぱいです うまそう 真ん中にイワナが隠れてます

開田から奈川に行く普通のルートは中山道にいったん戻ってから奈川に入るルートですが、今回は一度岐阜県の高根村に入り、そこから野麦峠を越えて奈川に入りました。
途中にはきれいな渓流もあり、栗が実っていたりサルが出たりで楽しいドライブでした。
奈川を道に沿って上流から降りていくと、やはり減水してます。でも釣りができないほどではないようですが・・・しかし人が多いですね。私はアウトドアライフを満喫してまーす、という感じの年配の方が目立ちます。
減水していて人が多いなら、普段水が多くて人があまり行かない所で釣ればいいわけです。奈川には何回も来ているので、そういうポイントも覚えました。
行ってみると車はありません。さっそく支度をして釣り開始です。
入ってすぐの淵を何回も流します。しばらくすると何かが動きました。ライズかな?パラダンを投げるとヒット。20センチに満たないイワナです。
小さな黄色いカゲロウがさかんに飛んでいます。
結局ここでは3匹釣って、4〜5匹ほどばらし。減水の影響でしょうか、ある程度の深場を何回も流さないと出ませんでした。
夕方は他のポイントにも行ってみましたが、やはり水が少なくて釣りにならない所が多かったですね。

この日はゲストハウスライズ泊。
夜はオーナーの「ついてない話」に爆笑しました。
ちなみに内容は
1)車幅ぎりぎりの林道を走って釣りに行ったら車のギアが壊れてバックできなくなり、2時間車を押して脱出した。
2)息子さんを手伝ってドラムセットを運んでいたら、ドラムセットにとまっていたアシナガバチに刺された。
3)ウェーダーをはいたら中に毛虫がいて1万箇所ばかり刺され、足がはれ上がった。
等です。おきのどく様。

ライズさえしなければ・・・ パラダンが有効 尾びれの欠けた22センチ

2001年9月24日(月)晴れ
「再会」

5時に昨日釣れたポイントへ。寒いのでフリースを着ます。
今朝は寒いからでしょうか。ハッチもなく、フライには出るのですが食いが浅いのかばらしてしまいます。
結局釣れたのは1匹だけでした。
ばらすのは合わせが早すぎるのか?

FlyFisher誌2001年10月号76ページの記事を読みましたか?
オーナーが乗っていたのがこのDT125。
掲載された写真では、ややヘルメットが小さいのが気にかかりますが、
オーナーなかなかかっこいいです。

チェックアウトして奈川の支流、黒川で釣り。黒川は2度目ですが、前回来たときは増水で釣りになりませんでした。
10時から始めたので、すでに人が入ってしまっているかもしれませんが、かまいません。
帰りの渋滞を考えて昼までやることにしました。
養魚場の取水口で何匹かフライに出ましたが、そのうちの1匹をゲット。ここには魚がたくさんいるんですね。
その後はなかなか出ませんが、大きなプールでフライに反応!しかしかかりません。
ここにいるはずだがなー、と投げたフライが沈みました。ラインを引くと重みが!合わせると、釣れました!
沈んでるドライフライでも油断できませんね。
しかし、2匹ともあまり流れのない所で釣りました。うーん、流れるドライフライをスパッと食ってほしいんですが。
しばらく行くとよさそうなポイント。フライを流すと魚が追います。1拍おいてもう一度流すとヒット!気持ちのいい釣れ方です。
満足してリリース。時計を見ると12時少し前です。
これで納竿としました。
最後はけっこう気持ちよく終了できました。

ちょっと鼻切れ よく引きました 最後の1匹 渓相のいい黒川

いつもならこれで終わりですが、今回はまだ続きがあります。
帰り道、中央自動車道の双葉SAで休憩していると、横から「こんにちわ」という人がいます。
こんな所で誰?といぶかしりながら見ると、あっ、なんとプチビラMTおんたけで一緒だったあのライダーさんではないか!
「すごい偶然ですよねー」と彼が言います。確かに帰る方向は同じでもこんなことはめったにないでしょう。
彼は神奈川の伊勢原に住んでいるそうで「渋滞ですから、これからとろとろ帰ります」
私はくちばし通信のことを教え、彼と別れました。見てくれたかな。

それからは中央、東名の両方で渋滞にはまり、横浜に着いたのが11時。休憩をたっぷり取ったとは言え、奈川から11時間もかかったことになります。
簡単に片づけをして、布団に入ったときはくたくたでした。

あー疲れた。こんなことなら黒川で釣らないで、まっすぐ帰ればよかったかなー・・・
いや、黒川は水も森もきれいだった。黒川で過ごした2時間はなにものにも代えがたいぞ!
このくらいじゃ、ぜんぜん後悔しない。
よーし、次も行くぞー

ぴーす