2004年7月22日(木)晴れ
「席を間違えると
職場に終業のチャイムが鳴り響いた後、ころあいを見計らって、数日前から用意しておいたバッグを引き出しから取り出し会議室に移動。
すばやく山用の服に着替えます。
「あれ?どうしたんですか」
という職場の人の声をかわしつつ東京駅へ。夕食にはまずーい定食を食べました。
コインロッカーに行って、早朝にデポしておいたザックを回収。
これで準備完了です。

今回参加する「森と水」主催のツアー「山奥で釣る」の集合は長野駅に23時。
長野新幹線に乗るのは今回が初めてです。乗ってみて驚いたのは満席だったこと。少なくとも私の乗った車両はそうでした。

さて、私がザックを網棚に上げてやれやれとウーロン茶を飲んでいると、若い女性が話しかけてきます。
何かなと思って聞くと、席が違うとのこと。私の指定券は通路側なのに窓側に座ってしまいました。
あわてて席を替わろうとしましたが、彼女が通路側の席の方がいいと言ってくれたので席はそのままに。
この女性とは上田まで一緒でした。スーツ姿の目のパッチリしたかわいー人でした。
もちろん写真は撮りません。
新幹線で席が隣り合っただけで写真を撮るほど非常識ではありません。
あらかじめお断りしておきます。

長野駅に到着するとガイドの三井さんともう一人の参加者KZさんが待っていてくれました。
三井さんとは6月にBOSSさんと参加した奥只見のツアー以来です。
説明によると今晩は車で1時間ほど移動して仮眠。翌日はさらに車で移動し、7時過ぎに林道のゲートを出発とのことです。
さっそく三井さんの車に乗り込みました。暗いのでどこをどう走ったのかよくわかりませんが、ずいぶん人里離れた広場に到着。
三井さんが張ってくれたテントで横になりました。
でも寒いやら興奮しているやらであんまりよく眠れませんでした。
2004年7月23日(金)晴れのちくもり
「寒い夜
6時に出発とのことでしたが、早く目が覚めてしまったのでテントを這い出し、あたりを散歩してみました。
ここは農業用の大きなため池の横の広場です。変なところに寝てました。

テントをたたんで予定通り出発。
途中のコンビニで朝ごはんを購入。レジでお金を払うと店員がくじを引いてくれというので何気なくやってみるとこれが当たりでした。
店員は私をじっと見て
「アイスクリームは・・・持って行けますか?」

うーん、つまんないところで運を使い果たしてしまった。


さらに1時間ほど走ると谷間に川が見えてきました。目的のO川です。ほどなく林道の車止めゲートに到着。
支度をして元気に出発!
したのですが、私は最初の上りでばててしまい、お二人を待たせてしまいました。
最初の上りでへばるカモノハシ(手前)
この時点で共同装備のそうめんを放棄


<写真提供:森と水>

しかしそのあとの林道は歩きやすく、3時間半ほどで入渓点にたどり着きました。
沢靴に履き替えていよいよ川へ突入です。
「おおー」
KZさんと共に絶叫します。抜群の渓相。すきとおった水。
来てよかったー
もっとも三井さんによると減水気味で、少しにごりがあるとのことでした。
うーん、もっと透明度が高かったら、どこに水があるのかわからないなあ。
きれいな渓を進みます。

左下は流れを跳び越すKZさん。
ましらの如し。

<写真提供:森と水>


1時間ほど巻いたりへつったり跳び越えたり(!)した後、いよいよ釣り開始です。
KZさんは餌釣り。林道ではみんなでバッタを捕まえました。
交代で釣り上がりますが、なかなか釣れません。時たまフライには来るのですが、くわえずに帰ってしまいます。減水で警戒しているのでしょうか。
KZさんの方もまったくだめのようです。
しばらくして私のフライに魚が飛びつき、やっと第一号です。


私はだんだん不安になってきました。
基本的にツアーの夕食はイワナなのです。このままだとごはんに塩かけて食うことになりかねません(実際には三井さんがそのほかの食材も持っていましたが)。
私の集中力は一気に上がりました。こうなるとポイントを見極める力が尋常ではなくなるようで、キープサイズがテンポよく釣れ始めます。

そのうち大きいのがかかりました。最初は小さいかなと思ったのですが、寄せてみると大きなイワナです。
「三井さん!やった」
「おおっ。これはいいですね。尺かな」
「うーん・・・おしい!29センチです」
「魚をこういうふうにまっすぐにすれば?」
「同じです」
「こうすれば?」
「29ですね」
「こうすると」
「29です」
釣れたイワナたち。

左下はツアー中の最大魚を釣って
喜ぶカモノハシ
<写真提供:森と水>

しばらく歩いてテン場に到着。
タープを張って焚き火と夕食の準備。
三井さんの造るイワナ料理はどれも絶品でした。

餌釣りのKZさんは残念ながら今日はボウズ。開けた渓相と減水に苦戦したようです。
従いまして夕食のイワナは全部カモノハシが釣りました。このような栄誉には浴することは生涯ありえない、貴重な一日となりました。

9時頃就寝。
今回はあまり寒くないとのことでシュラフではなく、シュラフカバーだけを持参したのですが、これが大きく予想を裏切る結果となりました。
寒い。
とにかく寒い。
風が吹くといきなり冷えて目が覚めてしまいます。
特に明け方に近くなるといっそう冷えて身体ががたがたと震えて眠れませんでした。
本当に死ぬかと思いました。
後で聞いたらKZさんもめちゃめちゃ辛かったそうです。


2004年7月24日(土)晴れのちくもり一時雷雨
「餌・フライ・ルアー
三井さんはいつもは餌釣りですが、
今回はルアータックルで挑戦。
だいぶ苦心しておられましたが、
見事イワナをゲット!

暖かい朝が来てうれしいです。

ごはんを食べた後、釣りの支度く。
今日は釣り道具だけを持って川を上ります。
テン場を出発してしばらくすると、すごく開けた場所に出ました。
がんがん釣れるわけではないですが、いい型のイワナがかかります。

川の水がとてもきれいで、流れの中に入って釣っていることそのものが幸せです。

今日はKZさんもイワナをゲット。

途中で上流の沢から入ってきたグループや、後ろから追いついてきたグループに会いましたが、三井さんがうまく調整してくれました。
人の歩いた後を釣ることになりましたが、時間をおいて、ポイントを絞って釣っていくとそれなりの釣果です。
左上、右上
ロングキャストで一発。
喜ぶカモノハシ。

<写真提供:森と水>


お昼近くなるとごろごろと雷の音がします。
そうめんを食べていると雨が降り始めました。釣り道具をしまってテン場に戻ります。
テン場につく頃には雨足は弱くなっていました。

タープにたどり着くと三井さんが
「あー眠いなー」
と言ってシートの上にごろりと横になりました。
濡れたまんま寝ちゃってしょうがないなあ、などと見ていたのですが、いかにも気持ち良さそうです。
私も濡れた服のまま横になると、あっという間に眠ってしまいました。
しばらくして起きた後、いきなりたきぎ運びになったのは辛かったですねえ。

夕食も終わり、暗くなって焚き火にあたっていると、川の中でライズが始まりました。
私はゴムゾーリをつっかけ、フライロッドを持って川べりに行きます。
暗くてフライは見えませんが、とりあえずキャストしてみました。この辺かなー、と合わせてみると見事にヒット。
三井さんとKZさんが大喜び。
私もゴムゾーリで天然イワナを釣るとは思いませんでした。

9時頃就寝。
今日はきっちりと傾向と対策。靴下を履き、フリースを着てさらに雨具の上下。
これでシュラフカバーにもぐりこむととても暖かでした。
新作
フライングクロスアタック壱号改で
釣れたイワナ


2004年7月25日(日)晴れたりくもったり雨が降ったり
「東京駅にて

うとうとした、と思ったらもう夜明けでした。
寝たまま空を見上げると私達のタープを支えるブナの木。
顔を上げるときれいな川の流れ。
このままシュラフカバーの中にずっといよう。永遠にこうしていよう。そう思いました。

気配で目が覚めると、三井さんが火を起こしていました。KZさんも隣で着替えています。
私も永眠計画をいったん中止。朝ごはんを食べるためにごそごそと這い出しました。

朝食はイワナのお茶漬け。う、うまい。

今日は釣りをせずに帰ることにしました。
装備をまとめ、ずっしり重いザックを担ぎ上げます。
川を下り、林道を下り、出発したゲートに戻ってきました。


温泉に入って身ぎれいになり、三井さんに車で長野駅へ送ってもらいます。
途中で恐ろしいくらいの雷雨になりました。
信号待ちをしていると、近くでぴかっと稲妻が光ります。
三井さんがあっと叫びました。何事かと思って前を見ると信号機が全部消えています。
信号機の停電は初めて見ました。


長野駅から新幹線に乗って東京へ。
東京駅のホームに下りるとKZさんがつぶやきました。

「別世界だ」