「雨を待つ
2009年9月10日(木)晴れ
リ・ライズの名藤さんと釣り支度をして歩き始める。今日の釣り場は車止めから歩いて1時間。峠を一つ越えていかねばならない。
ここのところ雨が降っていないのでどの川も渇水気味。電話をしたときに名藤さんが
「ひと雨来てくれるといいんだけど」
と言っていたが、もちろん降るわけはなく、悲しいまでに晴天である。
川に着いてみるとなるほど水が少ないようだ。藪をガサガサかき分けながら川に降りる。大きな淵にイワナが泳いでいるのがよく見える。魚はたくさんいる。名藤さんがビデオカメラを持ってこなかったことを悔やむ。

名藤さんに教えてもらいながらぽつぽつと釣っていく。いつものことながら名藤さんは魚を見つけるのがうまい。でも今日は魚が浮いているようで、私も何匹か見つけることができた。
途中、やたらと気難しいのが一匹いた。パラシュートフライを流しても見向きもしない。エルクヘアカディスに交換してみると、ぱくっと食いついてぺっと吐き出してしまう。しばらく粘ってみたがどうにもならないので、あきらめて歩き出したが、そのイワナはなかなか逃げようとしないのだ。こういうのを擬人化して「すれている」というけれど、こんな山奥の魚もすれるんでしょうか?

ここはヤマトイワナが在来種なのだそうだがニッコウイワナも混じる。ヤマトイワナは陰気な性格なので、岩の上流側とか横にぴったり張り付いて隠れているやつが多い。そして釣り人が近づくとだーっと逃げるのだ。一匹が走ると、近くに隠れていたやつもだーっと走る。

だーっ
だーっ
だーっ

名藤さんに不用意にポイントに近づかないように言われるが、今日は朝も早かったしそろそろ疲れて注意力散漫。ヤマトイワナが岩の上流側にいようが横にいようが木の上に隠れていようが、もうどうでもいいような気もする。しかしそんなわけにもいかないので気力で釣る。

私としてはそこそこの釣果となって楽しい1日。

帰り道は秋空がいっぱいだ。






カモノハシ 「芦ノ湖でバス釣ってたら、デイパックに入れておいた携帯が
濡れてダメになっちゃたんで、速攻で防水携帯を買いました。」

名藤 「どんなの買ったんです?」

カ 「防水ってあんまりなかったですね。らくらくホンとか。」

名 「えー!らくらくホン買ったのお!(あざけり)」

カ 「買いませんよ!ふつーの防水携帯にしました。」

名 「らくらくホンて名前がわかりやすくていいよな。
年寄り用を間違って買っちゃたらいやだもの。」

年をとるといろいろなことに気をつかわなくてはならない。



2009年9月11日(金)晴れ
朝早く起きて、リ・ライズのそばを流れる奈川に釣りに行く。
昨日の夜も身体に悪いくらい寒かったが、今朝も気温は8度。悪い予感がする。悪い予感は当然のように的中し、魚は一匹も釣れない。釣れないというかドライフライに反応しないのだ。
前回、5月に来た時は一匹しか釣れなかった。
以前は奈川に来ればそれなりの釣果だったのに。相性が悪くなったのか。それとも年々釣りが下手になっていくのか。
考え込みながらリ・ライズに戻って朝食。

名藤さんに勧められてZ川へ釣りに行く。
この川は何回か車で通ったことがあるが、上流に温泉があるせいかいつも入浴剤を流し込んだような色をしている。魚がいるのかと不思議に思うが、釣り人には有名な川なのだ。
名藤さんに教えてもらった入渓点から川に入る。そばで見ても不思議な水色だ。さっそく対岸のたるみにフライを落としてみると、ゆらりと魚が見に来た。いるいる。
名藤さんがこの川は釣れればそこそこサイズ、と言っていたがそのとおり。1匹目、2匹目は27〜28センチの良形だった。

落ち込みの肩のところにフライを流すとすーっと魚が浮いてきて、ぱくっと食らいついた。
足場が悪いので下の段に落としてから取り込もうとロッドを引くと、魚はすごい勢いで上流に逃げようとする。大きい!岩を飛んで魚に近づいきネットで掬う。
大きなイワナである。
測ってみると29.5センチ。
見解によっては尺イワナだが、やっぱり29.5センチだ。

昼過ぎになると当たりが止まったので川から上がる。
1匹目、2匹目ともに良形。
意見はいろいろあろうが29.5だ




いったんリ・ライズに戻り昼寝をした後、夕方、再び奈川へ釣りに行く。
下流の方は朝から何人か釣り人がいたので、少し上流に行ってみた。
ハッチが始まり、ところどころでイワナがライズしている。すぐに1匹釣れたが、釣り落としたりして後が続かない。川から上がって下流のほうに行ってみようかなあと思いつつ夕まづめを釣っていく。

魚がフライに出た

ように思ったので合わせてみると、手ごたえはあるが動かない。
あれ?と思ってさらに引っ張るとぐいぐいと魚が動き始めた。
あまりに抵抗が大きいのですれがかりかと思って目を凝らすと、ちゃんと口にかかっている。慎重に手繰り寄せて取り込んでみると体高のある尺イワナだった。

今度は31センチ。見解にかかわらず尺イワナ。

この後、暗くなるまで良い型が連発した。



2009年9月12日(土)雨
今日も早起き。雨が少し降っているが、このくらいの降りならなら問題ないだろうと奈川に釣りに行く。
1匹釣ったところで、道に車が止まっているのが見えた。釣り人がいるらしい。場所を移動しようと車に戻ると雨足が強まった。しばらく様子を見ていたがやみそうにもない。あきらめてリ・ライズに戻る。
朝食後も雨が降り続く。
しばらくベッドに横になって空を見ていたが、今日は一日雨のようだ。

名藤さんに挨拶して帰途につく。



もう少し早く降ってくれれば

良かったのに。