「柔軟体操
2011年6月9日(木)晴れ
出発



東北自動車道は白河ICを過ぎたあたりから「この先段差に注意」という表示が出てくるようになった。なかなか高速道路ではお目にかからない内容である。
段差かあ、などと軽く考えていたが、下手をするとハンドルを取られるのではないかと思うほど大きなものもある。崩れた法面を補修しているところもある。
先日の地震のものすごさをあらためて知る。

8時頃、裏磐梯の「おやど風来坊」に到着。
オーナーである一美さんの車に釣り道具を積んでG川に行く。ところが着いてみるとなんと先行者。こんな山の中なのによく来るなあ、などと自分たちのことは棚に上げて一美さんと感心する。
その人たちに断って上流部に入ることにした。

巻き返しにていねいにフライを入れるとばしゅっとイワナが釣れる。これは今日は楽勝かな、と喜んだが大きな間違いであった。
これ以降、行けども行けども一向に釣れないのである。
一美さんがうなる。
この川に魚がいないわけがない。何がまずいのだろうか、と思って水温を計ると9℃しかない。しかも少し水が濁っているし、枯れ葉などのごみも多い。
周囲の斜面には雪が残っているところもあったので、上流のスノーブリッジが最近崩れたのかもしれない。
今年は雪が多く春が遅かったと一美さんが言っていた。

とうとう最後のポイントまで来てしまった。本日の釣りはここで終了である。
私が1匹。一美さんはボウズ。
これまで何回も一緒に釣らせてもらっているが、一美さんが1匹も釣れなかったことはない。
一美さんは必ず釣るのである。
なんだか貴重な経験をしたように思う。

おやど風来坊に泊まる。
 唯一の釣果。

 よかった

2011年6月10日(金)晴れ


「K沢に行きましょう。」
と一美さん。先日、K沢でよく釣れたそうだ。


ふふ

うまくいくかな



入渓点に着いて私が仕掛けを作っている間に一美さんが2匹釣ってしまう。
一美さんは昨日のうっぷんを晴らすように釣っていく。
私にも時々釣れる。大きな淵のヘチを狙ったらこの日最大の25センチのイワナが釣れた。イワナもこれくらいになると貫禄がある。

一美さんは釣りの途中でネマガリダケを採る。斜面を登って30分で60本近く採ってきた。すごい。
私もちょっとだけやぶに入って2本採る。ネマガリダケはおいしいのだ。

K沢は源流と言うほどの厳しさはないが遡行距離はそれなりに長く、ちょっとした高巻きも何回かある。
釣れて楽しかったがかなり脚にきた。
私と一美さんは、ここのところ身体をあまり動かしていなかったので身体がすっかりナマコになっていたようだ。
私は岩と岩の間に落ちた。ロッドが折れたかと思うほどの衝撃だったが幸いロッドは無事で、脚にかすり傷を負っただけですんだ。
でも痛かった。
帰り道、一美さんが少し大きな岩を登ろうとしてずりずりとあがいているのを見て、ああ一美さんも疲れてるんだな、と思った。

少し早かったがおやど風来坊に戻り、お風呂に入って夕食まで少し眠る。
夕食の時にビールを2杯飲むと自分がヒマワリになったような気がした。かなり疲れているようだ。これはいけないと思い、部屋に戻って就寝。



2011年6月11日(土)曇りのち雨のち晴れ
昨夜はよく眠れなかった。ような気がする。
何度も目が覚めた。ような気がする。
身体が熱を持ったようで、暑苦しく、手足がなんだか強張った。
昨日の遡行が効いているのだろう。

朝食前にストレッチをする。


昨日からおやど風来坊に泊まっているUさんと3人で出かけることにする。Uさんはルアーフィッシングだ。
どこへ行くかみんなで相談。私はなるべく歩かないところがいい、などと軟弱なことを言う。
今日の釣行先はZ川に決定。

ところがZ川は釣れないのだ。たまにフライに反応はあるがかからない。釣れても小さなヤマメである。
水温は9℃。少し冷たい。
しかも途中で雨降り、ただでさえ薄暗いZ川が一層暗くなり、我々のテンションはいやがうえにも下がってしまうのである。

Z川は勾配のきつい川だが、高度が上がるにつれて魚の反応が一層悪くなった。上の方は気温も低いように感じた。これが釣れない原因だろうか。
一美さんは、いい所から魚が出ないと不満そうだ。
お昼ご飯を食べながら相談し、K沢に移ることにした。
時間が半端なので一美さんはおやど風来坊に戻り、私とUさんの二人で行くことになった。
小さなヤマメ 新しいウェーディングシューズ


K沢に到着。空はすっかり晴れた。
時間が遅いので脱渓点までは行けない。途中まで行って引き返してこなくてはならない。手早く支度をして川に入る。
いきなりイワナが釣れた。
昨日、K沢で釣った時に下流の方が魚が良く釣れたので、さらに下流部に入ればと思ったのだが、これが当ったらしい。
大きな魚は釣れなかったが、ここにはいるだろうというところにフライを流すと高確率でイワナが釣れる。短時間で10匹は釣れたと思う。
フライフィッシングってとっても簡単、と感じさせてくれる楽しい釣りとなった。

Uさんも渓流にはあまり行かないと言いつつ奮闘してイワナを釣る。
大きな淵で釣った時にはルアーを追尾して喰らいつくイワナの姿を見ることができてなかなかの迫力だった。




陽が傾き、川が少し暗くなったので、残念ながら納竿とした。
おやど風来坊に戻ってシャワーを借りて着替えをする。車を出す時には一美さん、奥様、Uさんが見送ってくれた。

シャワーを浴びてさっぱりしたし、空気は爽やかだし。
ジプシーキングスを聞きながら、なんだか楽しい気分になって裏磐梯を後にした。