「イワシの頭
2011年9月11日(日)晴れ


第二青木丸は長井漆山港を出発した。
天候は晴れで海面は凪。風がなかなか気持ち良い。



今日は東京海洋大学フィッシングカレッジの釣行会。釣り物はカツオである。カツオがだめならシイラを狙う。
私はシーバスボートを除けば舟に乗って海で釣りをするのは初めて。いわゆる沖釣り初体験である。
前日まで準備するものがよくわからずドタバタ。
果たしてどうなるのか。

早朝に長井漆山港に集合。第一、第二青木丸に分乗して釣ることとなった。
ポイントまで1時間とのことだが、見回してもなにがどうポイントなのかはさっぱりわからない。

ポイントに着くまで隣に座ったN君と話をする。
N君は高校生だが、曾お爺さんの代から釣り好きの家系とのことで、本日もお母様と一緒に参戦である。
N君からいろいろ教わる。なにせ私は生きているカツオやらシイラやらを見たこともないのだ。

「カツオの群れに近づいたらあそこから散水します。撒き餌であるイワシも投げます。カツオが船につけばたくさん釣れますよ。」
「へえ」
「今日はルアーですが、フライで釣る時はエポキシで固めたような、ある程度重量のあるフライがいいです。着水音にも反応するようです。」
「ほお」
「シイラは釣り上げると暴れます。危ないと思ったら足で軽く目を押さえるんです。そうするとおとなしくなります。尾鰭でたたかれるとけっこう痛いですよ。」
「かまれないんですか?」
「え?」
「いや、カツオやシイラにかまれることはないんですか?」
「・・・・そうですね、かまれることはないですねえ。」



しばらく走ってもカツオが見つからないとのことで、パヤオ(浮漁礁)に行ってシイラを釣ることにする。
船長がひょいひょいとイワシを巻く。しばらくすると海の中に鮮やかな色をした魚が現れた。
シイラだ。
焦ってルアーを投げる。ロッドとリールは借り物だが、なんとかうまくキャストする。
餌釣りの人が早くも1かける。。
おお、すごい引き!
私も負けずにペンシルベイトを投げ、リールのハンドルを一巻きした瞬間、がつんとあたりが来た。
ものすごい力で引くが、タックルのパワーの方が勝っており、なんなくランディング。悲しいくらい小さなシイラだが、初物は何でもうれしい。


右上:私の釣ったシイラ。ペンペンですね。
左:船が移動する間に仕掛けを作るNさん。


再びカツオを探す。しかしながら見つからない。
何回かなぶらを見つけたが、舟を近づける間にすぐにカツオはいなくなってしまう。どうも今日は日並みがよくないようだ。
船長はそれでも熱心に船を走らせる。ときどき舟を止めてはイワシを巻いて様子を見る。そして移動。これをくり返す。

また船長が舟を止めてイワシを巻く。みんな竿を出してみる。
すると10mくらい離れた海面が突然沸き立った。
「でたあ!あっちあっち」
いちばん近いところにいた私は思い切りルアーを投げる。みんなも投げる。
しかしボイルはあっと言う間に収まってしまった。
突然、舟の反対側で
「きたああ」
の声。
なんとフィッシングカレッジ事務局の平岡さんの竿がしなる。イワシの泳がせ釣りにカツオが食らいついたのだ。
みごとランディング。初めて生きているカツオを間近に見た。

今日釣れたカツオはこの1匹だけ。もう1隻の第一青木丸はシイラはたくさん釣れたもののカツオの釣果はなかった。
本当に今日は日並みがよくなかったようだ。
私のせいかな。



血抜きをされて
後は食べられるだけのカツオ


船のいけすにはイワシがいっぱい。
つけ餌、まき餌になる。
カツオはイワシを追って移動する。
釣れるかどうかはイワシにかかっている。
イワシ頼みなのだ。

一方、鳥さんの動きも見逃せない。
カツオやマグロが追い上げた小魚を
上空から狙っている。
鳥さんが集まるところに魚がいるというわけ。

出漁している船が多い。
魚探を見ているので一斉に同じ方向に動く。
衝突しやしないかと心配である。


「大間のマグロ船のようだ」
との声あり。


ふだん船に乗ることはめったにないが、こうして相模湾に出て、潮風に吹かれ、遠くの島や雲を眺めていると、こうした時間の過ごし方も悪くはないなと思う。
釣果は今一つだったが、最後まで景色を見ているのが楽しい1日。