2003年4月13日(日)晴れのちくもり
「カモノハシ、ロープにからむ」

前日の釣行記はこちら





暗闇の中、手探りで携帯電話のアラームを止めます。
ベッドのカーテンを開けると向かいからBOSSさんも起きてきました。
午前4時。予定通り起床です。
朝食をとり、釣りの支度をしていると、他の方も起きてきました。皆さんに見送られて出発です。

心の中で絶叫しながら、かつ冷静になりながら廃道を進みます。
傾斜がきつく狭い上に、真新しいカモシカだかシカだかのフンがいっぱいあります。
ここでカモシカがおっこってきたら助からねー
足元だけでなく頭上にも注意を払います。
カモノハシに眼を飛ばすカモシカ。
てめえなんかの来る所じゃねーよ、
と言っているようでした。

昨日BOSSさんが目印をつけたところから川に降りると沢への入渓点です。
少し休んでから滝を巻くべくガレ場を上ります。落石が怖いので私はBOSSさんが上まで行ってから上るように言われます。
見ているとBOSSさんも足場を確かめながら上がっていきます。私も慎重に上りました。
上まで行ってやれやれと思っていると、今度は反対側の崖をロープ伝いに降りるそうです。参ったなあ。
やっとの思いで下まで行くと、いよいよ沢に入ることになりました。
斜面を登るBOSSさん 木の根に結わえ付けたロープで
下降するBOSSさん


しばらくは竿を出さずに進みます。
小さな滝を巻くと、少し大きな滝に出会いました。BOSSさんが私を振り返ります。
「カモノハシさん、ここが今日最大の難所です」
そう言われても、私的にはとっくに危険度メーターがピークに達してしまっているので、なんだかよくわかりません。
今なら素手でライオンとでも戦えるわい、と思いました。
「私が上まで行ってからロープを下ろしますので、これを使って上って来てください」
なんとかいうロープにつける安全器具の説明をすると、BOSSさんは慎重に崖を上り始めました。
ここでBOSSさんが墜落して死んじゃったら私はどうなるのかなあ、と呆然と思いました。
しかしBOSSさんは死ぬこともなく無事上に到達。私もロープを使って上に到着。
いよいよ釣り開始です!
ロープをセットするBOSSさん。
この器具と
ロープに命を懸けます。


しかし釣れません。反応なし。

運動しているのであまり感じませんが沢の中は相当寒いようです。ポケットの温度計を出してみると10度くらいです。
ほんの少しカワゲラとユスリカが飛んでいます。水温もずいぶん低いのでしょう。
3時間ばかりやりましたがまったくダメです。
「おかしい。釣れないなあ」
BOSSさんが言います。
ボウズ、といういやな予感が早くもし始めました。

ちなみに私はここのところボウズ続きです。
配偶者は言います。
「おまえはボウズばかりなんだから、ハンドルネームも”つるりんカモノハシ”に変えたらどうだ?」
いやなやつです。


「BOSSさん、だいじょうぶ。あそこらへんまで行ったら釣れるかもしれない」
などとまったく根拠のない励ましをしながら、再び釣り始めます。
それでもしばらくすると谷に陽が差し込み始め、少し暖かくなってきました。
BOSSさんがフライに出た!と言います。
私のフライにも出ました。
そしてBOSSさんに今日初めての獲物。小さかったそうですが、BOSSさんはほっとした様子。気持ちわかりますね!
私にも稚魚が釣れました。偉い!思わずそのイワナをほめます。
次に釣れたのは20センチくらいでした。


こうなってくるとBOSSさんはにわかに元気になり、立て続けに何匹か釣ります。
そのうちの1匹は22〜23センチ。今日最大のイワナでした。
BOSSさんは釣るのをやめてポイントを私に譲ってくれます。
落ち込みからの流れが平たい岩に当たって流れが変わっているところにきました。
ここにいなくてどこにいる、というポイントです。
イワナの活性が鈍いようなので何回も流します。5回目くらいにばしっとアダムスパラシュートにイワナが出ました。
合わせるとヒット!ところがロッドが枝にあたりテンションが緩んだ隙に逃げられてしまいました。
BOSSさんがうけけ、と笑います。うー残念。
BOSSさんと話し合った結果、今のイワナは約40センチ、ということで落ち着きました。

さらに20センチ位のを1匹追加して今日の釣りは終了。あー釣れてよかった!

帰りは再び数々の難所を突破。無事に山小屋あたりまで帰ってきた時はほっとしました。
おっかなかったけどおもしろかったー
「BOSSさん、昨晩は釣りに行くのやめようと思ってたんだ」
「え?」